辿り着いた愛しさ

「―――!!」




!!

―――だが突然だ。
背後からの刃を久秀は受け止めた。




「死に損ないが…!」

「ッあ!…」





重い殺気に当てられて受け身が取れないまま、弾き飛ばされた。
だが、彼が受け止めてくれて。




「元…「どうして逃げなかったッ!?」





私が言うより先に、強引に振り向かせた彼がそう怒鳴った。
知らず涙が零れてた。




「どうして逃げなければならないのッ!?」

「何だと…」





―――






「本当によかったのか?姐さん一人行かせて」




富嶽への帰路をひた走りながら呟いた仲間に、佐平太は小さく笑う。




「あぁ」





『…―――行ってくるわ』




「あの時の姐さん、笑ってた。
俺は久しぶりにあんな姐さんの嬉しそうな顔見た。
…それに」

「それに?」







「―――…貴方は言ってくれた、“信じろ”と」





『―――アニキが傍に居る姐さんの方が、俺達は好きだ』





「―――嬉しかった…それに」





貴方が刀を折ってくれて私の心は軽くなった






「逃げろ、頼れ…そうやって何度も貴方に守られた」

「…」




でももう




「守られてばかりじゃいられない」







貴方を信じているから






昔のように






「一緒に戦いたい…!!」






私にも






「傍で守らせて…元親…っ、」

「沙羅…」







『―――それに姐さんが傍に居るアニキの方が好きだしな』







―――ギュッ



「馬鹿野郎…」





どうしてオメェはそうなんだ






『―――二人とも不器用だから…』





本当の事を、言うのは躊躇って






「女は男に黙って守られてりゃいいってのによ…」




今頃言いやがって





「俺も…だ」




本当なら―――




「俺もお前に…傍に居て欲しい」





不思議だな、







お前の気持ちを知った今






こうしてお前を腕に抱くとそれだけで、







「今度こそ…守れる気がする」







お前の背中を、お前を







もう2度と傷付けねぇ為に









『―――でもお互いに大切過ぎるから』








「――…守ってるわ、」




元親は。
こうして今、
私が此処に生きているのは




「貴方が守ってくれるからでしょう」






『―――だからこそ…一緒に居ねぇといけねぇと思うんだ』







「―――はっ、」





そうかい





ンな事言われちゃあしょうがねぇな






情けねぇ面なんざしてらんねぇ





「行くぜ沙羅」

「えぇ、」





こうしてまたお前と背中を預け合えるなら
もう迷わねぇ







お前と二人






「必ず生きて…」

「戻るぜ」



未来の為に――――。



20111106
20120903改

[ 146/214 ]

[*prev] [next#]

[戻]




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -