猛攻

「悪いが松永さんよぉ…この刀、そして沙羅は渡せねぇんだ。ぜってぇな」




ザザッ…、と足を広げ低く構える。





「アンタは鬼を怒らせた…仲間に手ェ出した借りは
―――今此処で返させてもらう!!」




刹那、地を蹴って。
久秀の懐に飛び込むと鋭い音が響く。




「卿も私に刀を向ける、か」

「―――!!」




―――ドォォォォォォン!!

激しい爆発音と共に元親の周囲は炎に包まれる。





「チッ!!」

「…!!」






元親―――…っっ




爆炎の中から飛び出した彼の姿を、縋るように目で追う。
先程より幾段も速さの上がった爆発が元親に襲い掛かり、久秀に近付く事が出来なかった。






「野郎共!!!沙羅を連れて富嶽に戻れ!!
俺も後で行く!!」




爆発に紛れて叫ぶ彼。
私は為す術なく、相槌を打った仲間に引かれていく。




「…元親ッ!!!」

「姐さん駄目だ危ねぇ!!」

「でも…!!」




久秀の目が細くなって。




「――所詮は海賊…略奪を知ろうとも、愛で方を知らぬか」

「何だと…」

「憐れな者共だ」






パチンッ

―――指鳴りと同時だった。
耳を劈く音と爆風が私達を襲った。





「きゃあぁぁあッ!!!」

「おわあぁぁぁぁあ!!!」




吹き飛んでくる塵芥に両腕で顔を庇う。
顔を上げればそこは




「…!」




火柱に包まれ炎上する大仏殿。何もかも全てが、火の海だった。




…元、親




「―――元親あぁぁあッ!!!」

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