刻は重なる

強く強く、目を閉じた








―――今まで沢山の人が死んでいくのを見てきた





私を育ててくれた人





戦に巻き込まれた人々






国の為、刀を振るった人々


その中には私が殺めた者もいる





―――松永久秀が言うように


結局私は自分が生き延びる為に、他の者を殺めているだけかもしれない







彼らも“生き延びたい”という思いは同じだったはずなのだから







―――分かっているつもりだった




だから目を閉じず、見つめてきた



“人の死”を―――見つめてこれた








―――でも









それでも……っ










怖く、なった











自分の番だと知って











恐怖で一杯になった










目を閉じた










―――でもどうして










痛みが襲ってこないのは――――――。











「―――…、」










どうして―――…「泣いてんのか、沙羅」






目を開けて


顔を上げると










「もう、泣くなよ」









優しい影に包まれていて










「―――待ってたぜ、お前が目ェ覚ますのを…ずっとな」











大きな背中に守られていて









「あぁ……っ」








涙は止まらなかった












私の前に立って、碇槍を片手に
振り下ろされた刃を受け止めていた

彼は








ずっと呼びたかった名は






心の奥から溢れて止められなかった







「元…親…っ、」



20111016
20120903改

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