船戦
「2000だと?」
顔を顰め黙り込む。
波風が吹き込む富嶽の上、明らかに異常と言えるその数に元親は声を荒らげた。
「へいアニキ、今日だけで2000隻でさぁ」
瀬戸海に出てきたならず者達。日に日にその限度は増していき、多忙を極めているのが現状。
「豊臣が落ちてからってもの…増えてきましたよね」
「にしてもすげぇ数だな」
覇王豊臣秀吉。その大きな勢力の影響は落ちて尚、広がり続けていた。
再び訪れた乱世。日ノ本を揺るがす者のなくなった今、各地で小競り合い、賊による奇襲などが頻発していた。
「―――アニキイィィイ!!!」
「どうした」
ドオォォォォン!!
「な、何だ!?」
「あァ?」
大きな爆発音。揺れは大した事なかったが、耳を劈く音に部下達が騒めく。
「落ち着きな、野郎共。
―――またイキのいい奴が掛ったじゃねぇか、なぁ?」
倒しても倒しても次から次へと現れる荒れくれ者達。だが、違う。
長會我部軍と決定的に違うもの。それは、仲間との結束力。
バキンッ!!!
「野郎共!!!今度はこっちの番よ!!
見せつけてやんな、格の違いってヤツをよぉ!!」
「うおぉお!!!」
床に突き刺した碇槍に足を掛けた元親。不敵な笑みを浮かべて。船上に豪快な声が響いた。
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