もう一度

「――…沙羅何処だ!?沙羅ッ!!」



地響きの中走っていた。

長い夜がやっと明けた。
一進一退の攻防。最後政宗と幸村、そして元親の渾身の一撃が決め手となり、3人の力は大きな塊となって覇王を押し負かしたのだ。
だが決着の後、崩壊を始めた大阪城。元親は政宗、幸村と分かれ沙羅の下に駆け付けた。が、そこには最早場所という場所は残っていなかった。
屋根の至るところ大きな穴が空き、瓦礫が散らばっていた。恐らく天守閣から落ちてきたもの。
さらに穴の下は瓦礫に埋もれた間だけが広がっていた。



「……」




眉を顰め、直ぐに上着を翻す。穴に背を向け、歩きながら見回す。




「――………!!」



直ぐだ。弾けるように体が動いていた。揺れる屋根をゆっくりと滑り落ちていく体。引き寄せ胸に掻き抱くと、即座に飛び退いて。
雪崩てきた瓦礫を避け、まだ崩れていないところに移動する。碇槍を傍らに突き刺し抱き起こした。




「おい沙羅…目ェ覚ませ沙羅ッ!!!」



抱き上げて初めて、こんなにも華奢だったかと思った。
四国にいた時より、ずっと軽い。服も破け、傷だらけの白い肌。
何度揺さ振っても呼び掛けても、眠るように静かで。




「……」



聞こえ…ねぇ…
―――彼女の鼻先に耳を近づけ、呆然とする。
息がない。心臓も動いていないのだ。



ガラガラガラ――…



聴覚を埋めるのは瓦礫の崩れていく音。




「…なぁ」




沙羅




「目…開けろよ」



さっきみたいに手を伸ばせよ




ホントは



「生きてんだろ」




なぁ




どうして体が、冷てぇ



―――ギッ…




「返事しろってってんだろ沙羅ッッ!!!」



ためらいも何もなかった。彼女の頭を持ち上げ、唇が唇を塞ぐ一瞬。
酸素を送り終わると、床に寝かせ、肋骨圧迫を始める。



「約束しただろ!?」



沙羅



「生きて戻るんだろうがッ!!!」



言うや否や元親は彼女の口元に耳を近づける。離すと抱き抱えた。
弱々しいが確かに聞こえたのだ。なんとか応急措置で息を吹き返した様、それでも安心は束の間。碇槍を片手に瓦礫を凪ぎ払い、退路を走り出す。




頼む




「持ち堪えろ…!!―――」

…………………………………
肋骨圧迫→心臓マッサージの事

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