ずっと傍に居ると言って

―――…グッッ、



「!!」



だが頬に手に、感じた厚い胸板は
腰に回された力強い腕は



―――ギンッ!!



頭上で再び金属音が弾けて。目を瞑った。ぐっ、と胸板に押し込められて。感じる浮遊感。
着地し鎖の音が弾む。彼がしっかり私を胸に閉じ込めて。何とか立っていた。
碇槍を傍らに刺し、私を床に寝かせる。見つめられて。伸びてきた腕。上半身を起こされ私の体は大きな影に包み込まれた。
抱き締める元親、貴方に…――




「元…親…、」



息が詰まるくらい苦しくて
切なくて。
彼を通して伝わってきた。
体が離れて、見つめ合う。



―――ス




力なく頬笑んで。少しずつその頬へ手を伸ばす。目を次第に細める元親。
が、途端怖くなって引っ込みかけた瞬間。



―――ギュ、

目を見開く。
元親の指が自分の指に絡んで。握られる。




「元…「馬鹿野郎」





絡めた指。
その力が少し強くなって。
どうすればいいのか分からない。
彼を見つめた。
その瞳、綺麗な海の青を見つめて。




「ずっと、」




迷ってたのか?




「……」

「俺に、俺達にのけ者にされるとでも思ったか?」




迷惑になるとでも思ったか




「……―――、」

「言っただろ、沙羅」







『…暫くオメェの命、俺が預かる』







「お前が…何者かなんて関係ねぇよ。
――力が、外見がどうした」

「…――!!」

「“沙羅”は“沙羅”だ。
俺もオメェも…過去も今も何も変わるモンはねぇ」




そしてこの先ずっと
変わらねぇんだ俺の心は




「一人で抱えるな」




なぁ




「俺がお前を守る」




だからよ




「もっと、俺を頼れ―――」




沙羅





「っ!!……、」


ゥ―――――……



途端、見開いた瞳に込み上げて溢れて
沙羅の頬を雫が伝った。
ギュッ、と眉根を寄せ瑠璃色が溢れる。




「元、…親…っ…」




今まで必死に我慢して隠して
身内以外誰にも見せれなかった涙。
弱い自分それ故に
貴方には決して見せれなかった、見せてはいけないと思った感情。

貴方の優しさにまた、私は泣いてしまう。

―――元親の指が溢れる涙を優しく払って、抱き締めた。





「ごめんなさい…っ、」




そして




「ありがとう…っ―――」



歯を食い縛ってやっと言えた言葉。無意識に首に腕を回してた。絡み合うままの骨張った指。強く握る。
―――向き合って。

口付けを交わした。



ずっと傍に居ると言って
(貴方と出会って恋をした)
(初めて交わした唇は)
(苦しくて切なくて)
(でもこんなにも誰かを)
(二度と愛せない)

第3部完

→あとがき

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