瞬きに交わりて
「確かに、沙羅は特殊なモン持ってる。
…だが、何故こいつだと言い切れる。テメェの話しなんざ信じられっかよっ!!!」
全てが全て沙羅と関係あって堪るかよ。
んなふざけた事、俺は
ギリッ…!!、
俺は……認めねぇ…!!!
「信じる信じないは君の勝手だ。
だが生き残りはいた。これは事実だよ」
滅亡した六条家。だが幼すぎた、二人の姫は。彼らも親だ、何も知らない自分達の子を殺める事は出来なかった。
「辛うじて逃れた二人は瀬戸内に隠され、村娘として生きる事となった。
自分達の素性を知る事もなく」
沙羅の耳元に唇を近付ける半兵衛。彼女の体が強ばる。
「君も此処で知ったのだろう?
勝手に蔵を調べ漁っていたのを、僕が気付いていないとでも思ったのかい?」
「…―――」
元親の瞳がすっ、と細まる。
「―――本当なのか、沙羅」
奴の話は
―――彼女を見つめた。ここまで怯え苦しむ姿。問わずとも本当だと思わざるをえなかったが。
「………、」
目を伏せて黙り込む。そして静かに首を縦に振った。
「…そうか」
信じたくなかったがこれはもう。
―――元親は目を閉じた。
「話は分かった」
だがな
―――きっ、と目を細め顰めた眉。
「それとこれとは…沙羅がテメェに利用されんのとは、
話は別だ!!!」
バキンッ!!
「!!!」
刹那揺らいだ紫の瞳。碇槍を瞬時に掴み、距離が一気に詰まる。
(――何!?)
「くっ……!!」
ザザッ!!―――…
―――一歩咄嗟に後退る。甘かった。
彼女がいれば、反撃の手は出ないと踏んでいた。片手に彼女の手首を、もう片方は短刀を持っている半兵衛は守備ががら空き。それを元親は見過ごさなかった。
「沙羅伏せてろぉぉおッ!!!」
「………!!」
歯を食い縛り腕を振りほどいて。半兵衛を突き放した。刹那碇槍が空を薙ぐ。後方に身を引く半兵衛が関節剣で衝撃を横へと逸らすが。
ガン!!、と頭上で激しい金属音が弾けた。
(だ……め、……立って…られない……―――)
近づく床。朦朧とする意識に目を閉じた。
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