来たりし刻

「ハっ……ァ……」



左胸を押さえて屈みこむ。視界が揺れる。




「……沙羅?」



どうしてこんな時に――ドン――

「ぁ…―――




胸を抉るような痛み。一際大きく心臓が疼いて。



グラ…

―――風は止み、消える足場。バランスを崩し、ゆっくり倒れ落ちていく。



「なっ…沙羅どうしたッ!?沙羅ッッ!!!」


行こうとした、だが。関節剣が塞ぐ。走り寄ろうとする元親を半兵衛は許さない。



「退け!!!邪魔すんじゃねぇっ!!!」

「―――行かせないよ」



散る火花。半兵衛は身を引き目を細む。
その時だった。



…―――グンッ



「!!!」



動きを止めざるを得なかった。
床で苦しげに縮こまり、左胸を押さえていた沙羅。離れた輪刀を掴もうと手を伸ばしていた。だが手首を掴まれ、引きずり起こされる。
青ざめぐったりした彼女は抵抗も出来ず。立つのを余儀なくされ、半兵衞にもたれかかる。

その喉元に、関節剣が近づいた。



「さあ…どうする?元親君」



20100925
20120826改

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