椿の如く
「PHANTOM DIVE!!!」」
「朱雀翔っ!!!」
「オ"ゥラァァァッ!!!」
蒼竜の喚声。赤き虎の咆哮。そして鬼の喝。近寄らざるが賢明とはまさにこの事。他国に名を連ねるこの3人が再び相見える事はもうないかもしれない。
数では圧倒的不利だがその戦力差は、―――歴然。
(凄……い、)
「死ねぇぇっっ!!!」
最中、自分に振り下りた刀。沙羅は瞬時によけ、敵を薙ぎ払った。
「ぐぁぁぁっ!!」
「…悪いわね」
素早く爆転しその場を離れる。しなやかなその身のこなし。無駄のない動き。元来身体能力も並みではなかったが。元親に仕込まれて益々磨きがかかっていた。
「はぁっ!!!」
風を操り、その風に乗り、どこまでも行ける。風さえあれば空中で移動も可能。そして様々な角度からの近距離攻撃が得意。沙羅は走りながら次々と雑兵を迎え撃つ。
「怯むな!!!女を引っ捕えろ!!!」
その声と共に束になってくる刃と人の群れ。だが沙羅は難なく宙に舞い上がって躱す。
「飛んだだと!?」
「―――whew……」
弧を描く身体の線
その舞はまるで
咲き乱れる華のようで
気取らない美しさを見せる椿が浮かんだ
「…体は鈍ってねぇな」
元親は振り下ろした碇槍を引き寄せ小さく笑った。
「いいねぇ!!!悪くねぇdanceだっ!!!」
「なんと…!!!噂には聞き及んでいたが…沙羅殿!!
『風刃』の名に違わぬ見事な戦ぶり…、某も負けてはおれぬ!!」
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