背に感じるは
「沙羅!!」
「沙羅殿!!」
「…大丈夫みてえだな、thanks.」
「助かったで御座る!此処を早く切り抜けようぞ!」
流石は何度も死線を切り抜けてきた人達。私を確認し納得したようだ。
―――此処は少し広めの場所。相変わらず薄暗いが天守まであともう少し。
「派手なpartyの前のwarming upってとこか」
ニヤリと笑い六爪を引き抜く。
「うぉぉぉぉ!!漲るうぁぁ!!!」
ドオォォォォン!!
青い稲妻と赤い豪火が起こり、敵はあっという間に薙ぎ倒される。
「凄……い、」
(流石…だわ
二人ともなんて強さ――「沙羅」
背後から聞こえて。知らず知らずに私は、元親と背中を預け合っていた。一緒に戦に赴いたあの頃を―――あの一月を思い出す。今のように、当たり前に互いの背中を守ってきた事を。
「行けるか?」
こちらはじりじりと詰め寄られていた。だが、元親はこの状況に焦りを滲ませるどころか、実に落ち着いた様子で。
彼らしい―――
「こんなところで死ぬつもりはないわ」
そう…やられる訳にはいかない。
私はまだ――――…
愛刀の鍔のない二本の腰刀。佐助が取ってきてくれた。久しぶりにその柄を掴み、変わらない木の感触を確かめる。鞘から抜き取り構えた。
「…はっ、」
お前らしいぜ。肝が座ってやがる。
「…そうかよ」
「…」
「俺の背は任せたぜ?沙羅」
「無茶言うわ…」
貴方からしてみれば、忍なんて全く問題ないくせに。私は自分の背中で精一杯だって分かってるくせに――。
だがわざと言ってみせる元親の悪戯じみた瞳と合って、小さく笑った。
「「―――!!」」
それが合図となり、黒い影が押し寄せてきた。
続
20100707
20120823改
[ 71/214 ][*prev] [next#]
[戻]