純粋
鋭い瞳、独眼竜と呼ばれるその由縁が私の瞳を捕らえる。
目が逸らせなかった。
「てっめぇ…人が言った手前で口説いてんじゃねぇ!」
刹那とんっ、と背中を押されて。
「きゃあ!」
「うぉ!?」
政宗に一発入れようとした手は、沙羅を支えていた。
政宗はクツクツ、と喉の奥で笑って。
「――It`s a joke.気楽に行こうぜ?なぁ、真田幸村!」
「……」
「この野郎…!」
唖然と政宗を見る。元親はと言えば不機嫌そうに眉を寄せていた。
「も、元親」
もう、大丈夫
―――腰に回された手。彼の胸に引き付けられて、離れられなかったから。恥ずかしくて言えば。
「あぁ、そうだったな」
離してくれて。俯く顔。どうしてこんな状況になるのか。どうすればいいのだろう。ありがとうと言いたいのに、言えない。自分も結局気にしすぎという事か。
「―――沙羅殿」
「!」
突然すぎて、はっとして振り返る。
「どうしました?―――幸村様」
「……」
「…?」
意識していなかったせいか、目を背けられている理由が分からない。気にそぐわなかったのだろうか。元はといえば彼は、命を受けやってきているのだ。こんなところで時間を割くのをよく思ってないのかもしれない。
「…、ごめんなさい。急がなきゃいけないのに私達「そそ某も幸村と…呼んで下されぇ!!!」
「え?」
彼はどこか顔が真っ赤で。私は驚いて目を丸くした。
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