風の悪魔

(流石にこれだと分が悪いね…)



目の前で武器を構えた三人の名高い武将達。豊臣の敵として、この三人はあまりに危険。



「――風魔」



そう言った半兵衛の側、音もなく現れた長身の男。



(あの男は……)



「気を付けて!!その男は「風の悪魔…風魔小太郎、ね「!!」



自分の気持ちを代弁した佐助に思わず顔を向ける。佐助はちらっ、と沙羅を見て直ぐ幸村に呼び掛けた。



「旦那、そいつは俺に任せてくれない?」

「ぬっ、」

「―――…hm」



政宗は目を細めて、佐助を見遣った。



「……政宗殿!この場、某の忍に任せてはくれまいか?長曾我部殿も宜しく頼み申す」

「――……構わねぇ、」



第一声は元親。



「俺は竹中半兵衛、こいつにでけぇ借りがある。後は勝手にやってな」

「恩に着る…鬼の旦那」

「まぁ、俺の邪魔にならなけりゃ――」



政宗が言い掛けた刹那



――ガッッ!!



「――…HA.独眼竜に刃を向けるとはな」



身の程を知らねぇ奴だ

―――そう言い政宗は六爪で対刀を払い除けると、風魔の姿が消えた。



「風魔、その四人は暫く任せたよ。僕にはまだ、仕事が残ってるからね。



――後、」



半兵衛の瞳が沙羅を捕らえ、はっとして息を呑んだ。



「彼女を連れて来るのを、忘れちゃいけないよ」



――ド



妖艶に自分に微笑んだ半兵衛。角に消えていく。音も何も入らない。




『僕が…知らないとでも?』




何を…怖れてるの




半兵衛が思っている事が、そうだなんて……限らないじゃない……




ただの……脅しよ……




なのに―――




心臓がまだ早鐘を打って、脚がすくんで




頭が真っ白になった。

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