紅と迷彩
「あ―――…」
天井が崩れ落ちてくる。それは沙羅の吊るされている場所だけでない。
「沙羅ーーッ!!!
――…うぉあっ!!!」
駆け出すと大きな瓦礫が目の前に落ちてきて。合図のように幾つもの瓦礫が降る。
「元親ぁッ!!!」
目の前で見えなくなる貴方。どうしてこうなってしまったの。
やっと…届きそうだと思って手を伸ばしたら今度は届かない。
「―――ぅぐ…っ」
崩壊した天井の所為で、床にどっと投げ出された体。だが手首を拘束されたまま動けない。
ガラガラガラ――
でも今となってはそんな事どうでもよかった。顔を上げれば瓦礫の塊。動けない。沙羅の瞳にはゆっくりと大きく映ってくる瓦礫があった。
―――その時
ヒュ、
体が浮遊感に包まれた。
―――
「―――…ちッ」
「どうやらアンタも生きてるようだな」
瓦礫の中から政宗と元親が体を起こす。屋根は崩れるだけ崩れて止まったらしい。
「…沙羅は!?」
「あのladyか?分からねぇ」
「…っ」
もう少しで
――後もう少しで手が届きそうで届かなかった。
「く………っ」
何処だ
「…西海の鬼」
「あぁ!?何だって「Look it up」
政宗が指差した方向に目を向けて、はっとした。
―――
「貴方………は…」
浮遊感に包まれたかと思ったらそれは自分が抱き抱えられてるからと知って。先程までいた処は瓦礫で埋め尽くされていた。恐らくあのままだったら……――。
「―――…いやー、危なかったね〜」
迷彩の服に包んだ細い体。暗め橙色の髪は時折赤にも見え、鮮やかで。刺青だろうか、緑が鼻と両の頬に施された顔には一筋の汗が流れていた。
「――ah?、なんで武田まで此処にいんだよ」
「武田だと…」
すると階段の方からドドドド…、と沸き上がってくる騒音。
「コイツは…」
ニヤリ、笑った政宗。音は近づき
「うぉぉぉぉぉぉおっっ!!!何、事、かぁぁぁぁあ!!!」
後方から地響きをたて走ってくる影。沙羅は目を丸くする。青年。鉢巻きを棚引かせる、“赤”い青年。
「真田幸村見参!!!
武田が力、目にものを見よぉぉぉおッ!!!」
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