その姿を、

「邪魔すんじゃねええええッ!!!
退きやがれえええええええッ!!!」



爆発音が鳴り響き、同時に煙が沸き起こる。敵を次々薙ぎ払いどんどん上へと迫る。



(こんなところで道草食ってる暇なんざねぇんだよっ!!)



俺を信じる野郎共、四国の民




そして




『――…言えないの……
ごめんなさい…』





苦しそうに歪めた顔。俺はそんな顔をしてほしかったんじゃねぇ。辛ぇ事があるなら喋って楽になってほしかった。一人で抱えてほしくなかった。




もっと俺を頼ってほしかった。




「――てぃ、やぁ!!!」



!!!

得物を床に突き刺す。



「はっ…はっ……――」



天守閣…中でも最上階の此処まで来るのに時間を使い過ぎた。



(舐めやがって…)



元親の銀髪から雫が滴る。動いてた方がずっと楽だった。この歩みを止めたらもう歩く事を止めるかもしれない。
広々とした天守には殺気はおろか人の気配すらなかった。本当に此処にいるのか、と疑問すら覚えるその時



ふと足を止めた。



見間違える筈もない、あの姿は



「沙羅ッ!!!」



視線のずっと向こう。死んだように動かなかった体が僅かに反応して。両腕を縛り上げその体を宙に吊り上げている縄が小さく揺れた。垂れる長い髪。ゆっくりと上がる顔を見つめて。

沙羅の瞼はゆっくりと開き、瞳に映る元親が形を成していった。



20100425
20120818改

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