文化祭は高校生にとってザ・青春!なイベントだと思う。


中学生の時見た学園ドラマで「高校生ってマジ青春じゃんクレープ片手に恋人とお化け屋敷?ひょっえー」とか変に期待して高校入学したけど実際の文化祭あんなに大規模じゃねーじゃん、かっこいい先輩もいねーじゃんていうか恋人すらいないじゃん私と現実を見た高校一年の秋。


「名前、足元見ろィ」


「げっ!」


それから一年、今年は去年より楽しんでやる!例え彼氏がいなくともな!と意気込んでいる私は文化祭準備のため本来休みである土曜日に学校へ来ていた。そしていきなりペンキを教室にぶちまけた。総悟に言われて真っ赤なペンキが床を侵略していることを確認。


「ティッシュ!ティッシュないの!」



「お前女だろ、ティッシュ持ってねぇのか」


「土方くん私はね、鼻水なんか垂らさないからいらないの。つーことでトイレから持ってこい山崎!」


「え、俺!?」


嫌々出ていった山崎を待っている間に、なんとお妙ちゃんが雑巾で片付けてくれた、山崎おつ!


がらがら、


教室の扉が開いて、あれ?山崎早いななんて思っていたら入ってきたのは山崎ではなく晋助だった。今日土曜日なのに、まさか手伝いに来たのか?みんなー今日は槍が降るぞー。


私の驚いた表情をチラリと見た晋助が、少し照れ臭い…というか罰が悪そうな何とも言えぬ表情になった。


「文化祭の準備してんだろ?」


「さすがお祭り男」


「…るせぇ、宮○大輔じゃねぇよ」


「じゃあ、フェスティバルボーイ?」


いや、フェスティバルボーイってしっくりこないなと自分の発言に疑問を抱いたところで総悟があからさまに驚いた表情で、


「英語2のわりに出来んじゃねーかィ」


と感情のこもっていない口調でおちょくってきた。フェスティバルボーイで出来るとか言われてもクソほど嬉しくないから。


「とか言う総悟も成績2じゃん」


晋助をよそに英語のテスト点が仲良く最下位の私と総悟が言い合っていると、


「いだぁっ!」


「ちょっと来い」


晋助に耳を引っ張られ、教室から連れ出された。何で耳?ちょ、強すぎて首持ってかれるぅう!


「いったいな、何すんのよ」


連れ出されたのは屋上‥なんてドラマのようなシチュエーションではなく階段の踊り場。


「お前これ行きてぇんだろ」


やっと離された耳を押さえていると晋助が2枚のチケットを差し出した。それは3年生のあるクラスでやるプラネタリウムのチケットだった。湿気たこの学校の文化祭にプラネタリウム?なんてロマンチック!絶対行きたい例え一人でも!と思っていた私。でもプラネタリウム=恋人とかいうふざけた考えのカップルが多く、すでにチケットは完売したって聞いたのに。
晋助はそれを持っていて、しかも私に差し出している。


「くれるの?」


「あぁ、」


マジか晋助。今まであんたから貰ったものの中で一番嬉しいよ。まぁそこまで何か貰った記憶はないけど。受け取ったそれをじっと見つめた、こみ上がる嬉しさと叫びたい衝動。


だがしかし問題点がひとつあった。


「これカップル限定って書いてあるんだけど」


嬉しい気持ちから途端に現実に戻るように自分が真顔になるのが分かった。私シングルなんですけど‥そしてできれば言わせないでほしい。


「俺と行けばいいだろう」


「‥pardon?」


おっと、英語が出てしまった。英語ができない私でも英語がリアクションするほど、それくらい驚いてしまった。
いやいやいや、だってカップルだよ?晋助が私のスイートボーイフレンド?


「マジで言ってるんスか」


「来島キャラになるなボケ」


だって、これは‥まさか遠回しに告白してる?文化祭前にカップルがやたらと増えるのを見て自分だけ彼女がいないの惨めになった?それで夜のスーパーの惣菜コーナーでお手頃価格シールが貼ってあるような売れ残りな私に声をかけたと?


「お前行きたくても相手いねェんだろ?」


「‥分かってるなら言うなバカ晋助」


「だから俺様が行ってやるって言ってんだ」


「‥道明寺?」


「お前なァ‥ドラマの見すぎだ」


だって!晋助がそんな、そんなことすると思ってなかったんだもん。もしかしてわざわざ私のためにチケット取ってくれたのかなぁなんて思ったら、そんなの、


「興奮するじゃないのよォオ!」


「今度は猿飛か、忙しいなおまえ」



学 園 天 国
(片手にクレープ持ちたい!)
(‥勝手にしろ)


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