「はいはーい!演劇がいい!赤ずきん!」


名前が大きな声で手を上げるとあちこちで、マジかよとかつまんねーじゃんとかネチネチ言うクラスメイト。


いやー先生は良いと思うよ、名前が赤ずきん。衣装とか似合っちゃうと思うよ。


10月に行われる文化祭の出し物について話し合う時間を設けたはいいが、全く決まらない。つーかお前ら自分勝手すぎんだよ、黒板に書かれた候補は生徒の数と同じ。


つまり全員やりたいことが違うのだ、こっからどうやって絞るんだよ。黒板に俺が書いた候補たちを見てため息が出た。


「何で名前演劇がいいアル?変わってるヨ」


神楽が不思議そうに名前を見る。出し物の候補に酢こんぶレストランとか出したやつの方が数倍変わってんだよ。


「神楽知らないの?売上げが学年で1位だったらクラスで焼き肉食べ放題当たるんだよ」


「「「「焼き肉食べ放題!?」」」」


名前の言葉に生徒たちが一気に反応した。おい神楽、お前何でヨダレ垂らしてんだ。


「マジか!マジアルかァア!?」


「それだったらやる気上がるな」


「でもそれじゃ演劇じゃない方がいいんじゃないの」


次々に意見を出す生徒たちをまとめたのは名前だった。


「演劇だったら体育館を使わせてもらえるから、お客さんが集まりやすいでしょ。出店とかじゃチラシを貼るしか宣伝はできないけど演劇だったら校内を回りながらチケットを配れる。それに今時、演劇なんてどのクラスもやらないから逆に話題性もあるよ」


「「「「‥‥‥」」」」


おぉー名前、意外としっかりとプラン立ててんじゃねーか、偉い偉い。


「確かにそれなら演劇の方がいいかもね」


「土方コノヤローが赤ずきんやったら盛り上がりまさァ」


「ふざけんな、」


さっきまで反対派だった生徒たちだったが演劇の方向に話が進んでいるようだ。


「じゃあ、赤ずきんでけってーい!」


結局、ウチのクラスの出し物は名前の出した赤ずきんに決まった。そのまま配役や役割に話は進んでいく。


「私、ぜったい赤ずきん!」


まず、ガチでやりたいっぽい名前が主役の赤ずきん。他の女子は恥ずかしいから誰もやりたくなさそうだったけど。


「じゃあ次はオオカミ役!」


赤ずきんを食っちまう凶暴なオオカミ、つーことは名前を食うってことだろ?
‥‥え、マジ?


「ビジュアル的に近藤くんじゃない?」


「あいつが赤ずきん襲ったらなんかリアルネ、客逃げるヨ(小声)」


「「「たしかに」」」


「ちょっとォオ!」


「かと言って新八とか何とか崎なら目立たないアル。あの2人は木とかの役でいいネ」


「神楽ちゃん!?せめて(小声)にしようよ、丸聞こえなんだけど!」


「おいチャイナ娘!何とか崎って何だよ、山崎だろーがァア!」


ぎゃあぎゃあと騒がしくなる教室。あーあーまた始まったよ、しゃあーねぇなァ。


「はーい、オオカミは先生がやりまぁす」


「えっ」


"オオカミ役 銀八センセー"


黒板に書きながらそう言うと、教室が静まり返った。そして驚く名前。


「先生が、オオカミ‥?」


お前らだったらいつまで経っても決まらねーからなァ、と言って名前を見ると、みるみる顔が赤くなる名前。さっきまであんなテンション高かったのに、急に照れちゃってかわいいなァ‥


やべーもう食っちまいたいわ、ペロリといけそうなんだけど。




先 生 の 特 権
(キモいこと考えてるネ、名前が危険アル)
(うっせー焼き肉食いてぇなら協力しろ)

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -