「あれー」
メイクポーチの中をがちゃがちゃ。 しばらくして洗面台でごそごそ。
「ねぇ、銀ちゃん」
名前が、俺の名前を呼ぶ。
「んあ?」
ジャンプから視線を上げた先にいた名前は、いつもより控えめの薄いメイクだった。
どうしたと聞けば口紅がないと答えた。最近買ったというお気に入りの。
「今日みたいな薄いメイクに合わせたら可愛いのよ?どこ行ったんだろ」
俺が座るソファーの食い込みに手を突っ込む名前。
俺はそっとその手をつかみ、引っ張る。彼女がこちらを向いた。
「口紅より、こっちのがいいんじゃねーの」
そっと、やさしくくちびるに触れる。微かに甘いリップクリームの味。
こんな人工的な甘さじゃねぇ、俺が欲しているのは。
キャミソールしか着ていない名前の腰を引き寄せ、頭に腕を回す。角度を変えて何度もお互いのくちびるを感じた。
漏れる熱い吐息、うっすらと艶のあるアイシャドウに色気を感じる。
「ぎんと、き」
キスの合間に呼ばれる名前ほど愛しく、美しいものはない。
もっと呼んでほしい、俺の名を。
生暖かな柔らかい腕が俺の後ろ髪に触れる。さっきよりもずっと近く、熱い距離。
「名前」
うっすらと開く綺麗な形の瞳に銀色が映ることが堪らない。
そっと触れた頬は血色が良く火照ったように熱を持っていた。
「ぎんときのキス、好きよ」
濡れたくちびるから溢れる言葉は甘くとろけそうなほど官能的。
キャミソールに腕を滑り込ませれば、小さく声を漏らして上半身を捩る。
ぱさり、
ゆっくり押し倒す、彼女の髪がソファーに落ちて乱れた。髪を撫でながらまたがる。ソファーからジャンプの落ちる音がした。
控えめな胸を俺の乾いた手が包む。あっ、と彼女反応して恥ずかしそうに目を瞑ったので、まぶたにくちびるを落とす。名前の息が俺にかかりそれは俺の快感へ変わっていく。
やべぇ、あつい。
くちびるから首筋へと続くに連れて俺のキスは強く、彼女の胸を触る手の動きはやさしく。
ちゅ、髪に顔をうずめながらうなじの横を甘く噛めば花が咲く。俺の花だ。
彼女の首にしるされた、紅色。 俺のものだと、繋がっていたい、と そんな支配欲は収まることを知らない。
「だめ‥ぎんとき、キスマークは‥」
「知ってる、」
目立つから。と言うんだろ?だからうなじの横へつけたんだよ、髪に隠れりゃ俺しか知らない、その場所。
名前の潤った瞳に見つめられ、抑えたくない衝動を彼女のために抑えなければと胸をそっと揉んだ。
「は、あっ‥や‥ぎんとき、キスして」
もっと喘いで、その喉から。 もっと紅くしたい、そのくちびるを。
俺の色をつけよう ルージュよりも濃くて紅い色を
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