「さっさと探せ」

土方先輩は戻ってきた私と沖田にこっぴどく説教(軽く10分はあった)したあと、冷たく言い放った。久しぶりに怒られて金曜日のテンションが奈落の底に落ちていく。そりゃあ探すしかないけど、沖田くんは出したって言うし土方さんは受け取ってないって言うし。どっちかがミスしてんじゃん、どっちだよ。





ガラガラ、

99.99%の確率で私は行方不明の書類を持っていないけど一応、自分のデスク周辺を探す。他の書類も細かく確認。

「‥ない」

まぁ当たり前だけど。これで私が持ってたら洒落にならない、生きて帰れない。

「ねぇですぜぃ」

そして沖田くんも私同様、自分のデスクから書類は出てこなかったらしい。空になったコーラのペットボトルで肩を叩きながらどこ行ったんでしょうねィ、なんて呑気に呟いている。だからもっと真面目に仕事しろって言ってんでしょーが。

「土方係長ー書類ないでさァ!」

「!」

他に心当たりのある場所を探そうと思っていると、急に沖田くんが大声を出した。ちょ‥沖田くん、何言ってんのォオ!?私は驚いて沖田くんをパッと見る、本人は土方さんの方を見ていた。

ざわざわしていたオフィスが一瞬にして静まり返る、そして周りの視線がこちらに集中。その中で土方さんの視線(という名のビーム)が刺さる、私の体に貫通してしまうくらい。

「沖田、そんな大声出すんじゃねぇ!書類見つけるまで喋んな!」

「(ヒィイイ!)」

私が怒られたわけでもないのに、土方さんの罵声にビビって肩が震えた。もういいよ沖田くん、黙って探そう?私もちゃんと付き合うから土方さんはもう怒らせないでほし「分かりやしたァー!でも最後にひとつー土方さんもそんな大声出さないでくだせェ!鈴木先輩が震えてまさぁ!」

「(ヒィイイ!)」

沖田くんが親指で私をさした。するとさっきまで沖田くんに注がれていた視線が一瞬のうちに私へ移動。顔はひきつるわ、変な汗出てくるわ、土方さんこっち見てるわで頭が爆発しそうだった。すいません土方さん、でも沖田くんの言葉に強い否定はできないです99.99%事実です!ていうか沖田くんきみ何言ってくれてんの!土方さんますます機嫌悪くなるじゃない、気まずすぎるじゃない。どうしてくれるのォオ!

「‥さっさと見つけろ」

土方さんは私をチラリと見てからそう言うとオフィスを出ていってしまった。

「平気なフリして傷ついてますぜぃ、係長」

楽しそうにニヤつくつく沖田くんに冷ややかな視線を送る。誰のせいだと思ってるのよ、書類がないだけで相当お怒りなのにあんなこと大声で言って‥土方さん激おこぷんぷんだよもう。

「サチコ、こっちの書類は俺に任せて沖田くんと探しなよ」

「うん。ありがとう退‥今度ミロ「牛乳に溶かせる粉末タイプで」

退が書類片手に薄く笑った。あの書類、私が頼まれたのにほとんど退がやってくれてる‥申し訳ないな。でもとても助かるしありがたい。ミロ(粉末タイプ)を買うことを約束し、問題児沖田くんと再び書類探しに取り掛かった。

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