卓球完敗!将軍乾杯! ><前回までのあらすじ> 知人にもらった温泉宿泊券を使いやって来たあいうえお弁当一行と将軍家のお忍び旅行の護衛としてやって来た真選組。それぞれ気まずい雰囲気で再会したものの、ピーがピーに来てピーして無事仲直り。そして仲良くみんなで卓球をしていたとき事件は起こったのだった―― 「回想シーンなんかいらないから!」 将軍様にピンポン玉をクリーンヒットさせてしまった私は慌てて将軍様の元へ行き状況を確認。そこへ沖田がやって来てわざわざいらない回想を始めた。ていうか将軍様白目向いてるぅう!どうしようどうしようどうしよォオオオ!裸でリンボーダンスより恐ろしいことされるよ、死ぬよ私!パニックになってあたふた落ち着かない私の肩を誰かがポンポン叩いた。 「マナ、安心しな。お母さんはあんたを見捨てたりしないから」 「どっ、どういうこと!」 わざとらしく涙ぐむお母さんに顔がひきつる。すると反対側の肩をまた誰かがポンポン叩いた。 「マナと弁当屋やれてよかったよ、さようなら」 「ちょっと、のり子さん!私まだ現役で働くんだけど!」 完全に私を犯罪者扱いしてるんだけどこの二人。しかも一人身内だし!どうなってんの! 「藤堂、お前の首切りは俺に任せて安心して地獄に墜ちろィ」 「任せられっかァア!何乗っかって恐ろしいこと言ってんの!?しかも何で地獄!?」 沖田がここぞとばかりにニッタァと笑いながら私を見て頷く。悪魔か!地獄からの使者か!とでも言いたくなるような恐ろしい笑みだ。 「マナちゃんは首切りになんかさせないぞ!」 するとそこへまだラケットを持ったままの近藤さんが大きい声を出した。驚いて近藤さんを見るととても男らしい強い表情をしている。その表情に胸が熱くなる。こ、近藤さん‥さすが局長!やっぱり私たちチームブタゴリラですね!万歳! 「マナちゃんは、生き埋めか島流しだと俺は思います!」 「そこォオオオ!?」 オイィイイ!不吉なこと言うな!ていうかさっきからロクなやついないんだけど!みんなして何だ、私を守ってやろうとか思うやつはいないのか!あ、山崎さん以外で! 「ちょっと!何で俺以外?マナちゃんもロクなやつじゃないじゃん!」 「オメーら落ち着け」 隣にいた山崎さんが(全く気づかなかった)ギャーギャー言い始めたとき低い声が落ちてきた。しゃがみこんで将軍様を囲う私たちは一斉にその声のした方である上を見上げる。 「こんなところで将軍を野ざらしにしてる場合じゃねーだろ。てめぇの状況だけで慌てるな」 そこには土方さんがいた。一人だけ立って腕を組んでる。その言葉にうるさかった私たちの誰もが黙った。静かな空気が広がる。そうだ、今は言い合いしてる場合じゃない、将軍様をどうにかしないと。私は何度か頷いて土方さんの言葉を心の中で復唱し焦りっぱなしだった脳みそを落ち着かせた。やっぱりこういうときには土方さんだ、一気にみんなの空気を変えてる。 「とりあえず将軍を部屋まで運ぶぞ。藤堂の処罰に関してはそのあとだ」 「あんたもかィイ!」 立ち上がった体がその言葉でズルッと滑りそうになった。みんなしてさよならだの首切りだの島流しだの処罰だの、考えてること同じかよ! 「藤堂は旅館の人間に、氷枕もらってきてくれ。ビニールに入れた氷でもいい」 「あ、俺はコーヒー牛乳」 将軍様の腫れたおでこを見てから土方さんが私に指示を出す。コーヒー牛乳発言をした沖田は無視。何そのついでに買ってこいやみたいなパシリ。私は土方さんのだけに返事をしてフロントへ急ごうと歩き出した、とき誰かに腕をつかまれた。 「っ、何よ!コーヒー牛乳なら自分で買い‥」 沖田だろうとキレ気味で後ろを振り向けば、私の腕をつかんでいるのは沖田ではなく将軍。白目向いてたはずの将軍。いつのまにか意識を取り戻していた将軍、徳川将軍。って何でだァア!なぜ起きている!なぜ私を見ている!ハッ‥まさか今首切りとかじゃないですよね!? 「余は‥フルーツ牛乳、で‥」 「えっ?」 聞き違い?将軍様フルーツ牛乳って言った? 「代金は‥余があ、とで‥」 私の目を見てそう言った将軍様はパタッとまた倒れた。いやおかしいだろォオオオ!何その胡散臭い意識のなくなり方!何でフルーツ牛乳だけ言い残してまた白目向いてるんだよ!さっきと同じ状況の将軍様を見ながら私の焦りは急激に下がっていく。将軍絶対大丈夫だよね、 「マナちゃん俺はコーヒー牛乳がいい!」 「はっ!?聞いてないんですけど」 「オメーの打ったピンポン玉が招いたことだろィ、つーことでコーヒー牛乳」 「いやだからあんたは自分で買いに行きなって!」 「あたしゃ冷えたお茶がいいね」 「ちょっとのり子さんまで、いい加減にしてよ」 「将軍様が払ってくれるんでしょう?お母さんもお茶にするわ。山崎くんは?」 「あー俺は「土方さんはコーヒー牛乳でいいですかね?」 「マナちゃん!?俺まだ喋ってるんだけど!」 「行ってきまーす」 「俺まだ頼んでないんだけどォオオオ!」 前へ 次へ back |