自分が思っているよりも世間は狭い
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「うっぜ何あの男なっにがメス豚だバカまず謝れっつーのしかも女の子に向かって細菌だと?ふざけるな割れた花瓶拾いもしないでどっか行きやがって次あったら絶対ぶん殴る!キーッむかつく」


「病院で大きい声出すんじゃあないよ」


あれから割れた花瓶を片付けて、仕方ないのでペットボトルに花をさして病室に戻った私はまだ、さっきのことの怒りが収まらない。


ちなみに服は濡れたままだ。



「だってあり得なくない?悪いのはお互い様なのに自分だけ鼻が痛いの細菌がついただの小学生かってんだよこれだから男はいやなん「ハタチそこらの子供が男を語れるのかねぇ?私から言わせてみればどっちも幼稚園児みたいなモンだよ」


お母さんは私が病室に戻ると起きていて、どこから持ってきたのかりんごを剥きながら私の話を聞いている。


「ほらほら、そんなブスッとしないで。りんご食べるでしょ?」


私はお母さんからうさぎの形に切られたりんごをひとつ手にとった。


しゃきっ、


ちょうどよく冷えた甘さが、怒りでいっぱいになった私の頭まですーっと届く。心なしか少しだけ落ち着くような。りんごはすぐに食べ終わった。


「おいしいね、このりんご」


「本当だねぇ、さっきもらったんだよ。この病室に新しく入ってきた人に」


「え、新しく入ってきた人なんていた?」


2つめのりんごに手を伸ばしながら私は辺りを見回す。見事に誰も居ない。


「マナが帰ってくるほんの5分くらい前にね。何か検査があるとかで付き添いの人とすぐ出てったけど」


「ふーん」


しゃきっ、しゃきっ


それから私はお母さんが剥いたりんごを食べ続けた。


がらがらがら‥


しばらくお母さんと話していると病室の扉が開いた。看護婦さんかな?


「ったくザキは体が弱いなぁ!男ならもっと食って鍛えろ、分かったか?」


「局長、すいませんあれはいくら健康な人でもこうなります」


「ザキの言う通りだ近藤さん、あんなモン食ったら誰でも病院送りだ。つーかに何で屯所にダークマーターがあんだよ」


あぁ、もしかしてお母さんが言ってた新しく入院してきた人かな‥って、え?


「ザキは張り込み直後で軽く栄養失調だったからなおさらでィ、ブツは土方さんに食わせようと近藤さんの部屋からとったんでさァ」


ちょ、ちょっと待て。


「え、隊長があれを‥?」


「はぁ!?じゃあてめぇのせいじゃねぇか!」


「総悟!俺の"マジでダークマーターにしか見えないお妙さん手料理"、略してマダオコレクションから盗んだのか!?」


「マヨネーズかけ忘れたんでさァ、ザキが罠だって気づかなかったのが悪いん「あぁぁああ!!」


私の叫びに驚き、一斉にこちらを見る4人の男たち。その中に見覚えのありすぎる男が1名。


「(やっぱり‥!さっきの最悪男!)」




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