修学旅行前日の夜と同じである
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「写真ですかィ?」


「そう。総悟くん今日最後だろう?3人で撮ろうじゃないか」


最近スマートフォンに替えたのり子さんの要望により、閉店後のお店でなぜか3人で写真を撮った。嫌々写った写真には満面の笑みののり子さんwith無愛想な私と沖田総悟。温度差が半端ない一枚だ。


「じゃあ仲良くねー」


「のり子さんも気を付けてくだせェ」


「‥‥‥」


写真を撮れて満足げなのり子さんが帰って残されたのは私と猫ちゃん、そして台風よりもやっかいな人間が1名。


「風呂沸かせ布団ひけ酒持ってこい」


沖田総悟は本当に私の家に泊まっていくことになった。真選組に連絡をして許可ももらったんでィと2階に上がっていく沖田総悟に私はため息しか出なかった。何がでィだクソッタレ。
せっかくの台風でテンション上がってたのに!一気に奈落の底だコノヤロー。


まずヤツの何が嫌かって、


「お前ん家の冷蔵庫ロクなモン入ってねェな」


この常識のなさだ。今だって勝手に冷蔵庫を開けて中身を物色、1人暮らしの女の冷蔵庫はそんなもんなんだよ!


「勝手なことしないでくれる!?さっさと寝れば?」


「台風の夜はテンション上がって寝れねェんでィ」


「(わ、私と同じじゃねぇかァア!)」


何でこんなところで共通点発見んん!?いらないよこんな共通点、一緒に盛り上がりたくないし!


「‥泊めてあげるんだから調子こかないでよね」


ぶほっ、


「‥は?」


今こいつ完全に屁した!完全に片尻浮かして屁した!ちょ‥人ん家で堂々と何しとんじゃァア!しかもおまっ‥私の服の上に座ってるとか屁直撃じゃねェエかァア!まじふざけんなキモい!洗えよ!


「調子はこかねェ、屁はこく」


「意味分っかんないんだけど!窓開けて!」


ブィイイイン、


「扇風機をつけるなァア!悪臭が広まる!」


ピッ、


「首振り止めんかいィイイ!」


「ミャー」


「ほら!猫ちゃんも臭いって言ってるじゃん!」


鼻をつまみながら扇風機のコンセントを抜いてやった。やってることただの親父じゃん、何なのマジで。


「今日の俺は誰にも止められねェぜ、台風だからねィ」


「次屁こいてみろ、外出すからな!」


まだまだ夜は長いのに、こんな調子で大丈夫?


「答えはノーでィ」


「お前が言うな」


「まぁまぁ、今日が最後だろ?仲良くしようや」


「お前よくそんなこと言えるな」


台風でこいつこんなテンション高くなってんの?私以上じゃね?と隣に座る沖田総悟に若干引いていると、ふいにこちらを見たヤツとバッチリ目が合った。


「‥‥っ」


じっとお互いの目が合ったまま、どちらも動かさない。何これ何で見つめ合ってんの?


「500円な」


「何?くれるの?」


「アホか俺の目を見た罰でィ、あー目が腐る」


懐から目薬を出してぱちぱち、両目に滴を落とす沖田総悟。腐ってんのはお前の性格だよ!


「そういや、お前留学してたんだっけか?」


居間にある棚に並べられた教科書や冊子を見つけた沖田総悟が独り言のように呟いた。


「何で知ってんの」


「山崎に聞いた」


「‥あ、そういうこと」


お母さん→山崎さん→沖田総悟ってわけね。頭の中で三人を思い浮かべた。


「オット星っていう星で1年とちょっとだけど」


「オットセイ?」


「オット星。オットセイみたいな天人たちの星だからそうやって名前が付いたの、」


ほんの数ヵ月前まで留学してたのに、帰国してからここでの生活が濃すぎて何だかすごく昔のことのようだと自分で話しながら思った。


「だからそんなオットセイみたいな体型してんのかィ」


「うっさい!オットセイにモテモテだったんだからな私」


何"なるほど!"みたいに手叩いてんのこいつ。どこからどう見ても人間だろ、どこがオットセイ?


「んじゃァ、その留学の話を肴にしようかねィ」


そう言ってドンッと机に瓶のようなものを置いた沖田総悟。


「"鬼嫁"でィ」


「お酒!?あんたそんなの、どっから持ってきたんだよォオ!」


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