守りたい


私が苺タルトを食べ終わってからも30分ほどお喋りをした。

「あ、もう7時になっちゃうよ」

楽しいときほど、時間が経つのは早い。

「じゃあこの辺で解散しようか」
「うぃーす。ふぁ〜ねむ…」
「赤也大口開けすぎだよ」
「のどちんこまで丸見えぜよ」
「女の子もいるのにあんまりそういう単語使わないでよ仁王」
「プリッ」

それともあれか、私を女の子だと認識していないのか、そうなのか。

「でも女子だって使うだろぃ」
「いや、女の子同士の時はね」

そりゃあ仕方ない、あれを他に何て言えばいいのか知らないし。ていうか、そもそもそんな話はあまりしないのだが。

「と、まあ、そんな無駄話はその辺にして。さて、帰ろうか」
「あ、うん」

みんなでぞろぞろと喫茶店から出る。帰り道の関係で、その場で2手に分かれる。

「って、こっちの方向私だけ?」

私以外は同じ方向とかなんだこれいじめ?

「名前なら大丈夫じゃろ」
「襲われる心配ねぇしな」
「うっわ、ひどい!」
「そうだね」
「幸村くんのそれはどっちに同意したの」
「勿論仁王とブン太」
「幸村くんまで…!」

こいつら紅一点の私を夜7時に一人で帰す気なのか。まあ、私も襲われるなんてかけらも思っていないけど。

「でも一応女だし、誰か送ろうとか思わねぇのか?」
「ジャッカル…!」

さすがいい人代表。一応女とか言ったの聞こえてたけど許す。

「うむ、俺が送ろう」
「お父さんにしか見えないからね、襲われないよ」
「そ、それはどういう意味だ、幸村」
「そのままだよ」
「お、俺っ!」

真田が私を送ってくれる、みたいな空気になっていたところで、さっきまですごく眠そうにしていた赤也が挙手した。

「俺が送ります!」
「ふふ…わかった。真田、俺達と帰ろうか」
「む」

(あれ、私、赤也と帰ることになってる?)

幸村くんが言った後すぐに、仁王やブン太は勿論、柳くん、柳生もすでに歩き出していた。
残されたのは、私と、赤也。

「…………」
「…………」
「…帰りましょうか」
「…うん」

(なんで緊張してるんだろう…)

私にはわからなかった。



100627