構ってほしい


私は今年で立海大付属中、男子テニス部のマネージャー3年目になる。

「あ、早く洗濯物出してねワカメヘッドくん」
「今出しますよチビ先輩」
「何それ犬?つーかそのまんまだね」
「それを言うならあんたもでしょ」
「さっきから先輩扱いしてないよね君」
「さっきから後輩扱いしてないっすよねあんた。可愛い後輩はしっかり可愛がらなきゃ」
「ふ、ふ、ふ。まあなんてかわいらしい後輩なんでしょうよしよし」
「全部棒読みなんすけど」

私は思いっきり赤也のワカメヘッドをよしよしではなく、わしわしと掻き乱す。
乱しても代わり映えしないのがこの頭である。

「ほんっと名前先輩って…」

何だ、また悪口か。

「馬鹿ですよねー」
「やっぱりか」

頭を叩いてやったら、赤也は、いってー、と全然痛くなさそうに呟いた。

「…筋トレしようかな…」
「何か言いました?」
「いいや何にも」
「ふーん…」

ワカメヘッドフルボッコ計画がばれたら何されるかわからない。

「苗字、タオルを取ってくれ」
「あ、はいはい…どうぞ」

柳にタオルを渡す。

「いつもいつも大変だな」
「このくらい全然大丈夫だよ」
「ああ、仕事のことではなく」
「…?」
「いや、気にするな」

そう言いつつ、赤也を一瞥する柳。赤也はその視線に気付いたらしく。

「な、何でこっち見るんすか!」

とか言ってそっぽを向いた。何だ、このやり取り。私にはさっぱりだった。




100606