お友達

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そんなこんなで私はテニス部のマネージャーをやることになってしまった。テニス部はイケメン揃いで女子から人気らしい。マネージャーになったら絶対いじめられるじゃないかと思ったが、真いわく「男子だけやなくて女テニも手伝うし、大丈夫やろ!」とのこと。

「はあ…」

それでも憂鬱過ぎる。

「まあまあ。そんな溜め息つかんのっ」

前の席に座る私の溜め息の元凶、真が笑顔で言った。
そうだよ、全部真のせいなんだよね。
真が「マネージャーなら絶対名前がええよ!」なんて言わなければ…私は平和な日常を過ごせたのに。

「何であんなこと言ったのさあ…」
「え?だって…」

私にマネージャーの経験なんてこれっぽっちもない。

「いつもつまらなさそうなんやもん」
「…………」

それは多分、無表情だからじゃないのかな、真ちゃん…?

「やから、おもろそうなマネージャーにしたろ思うて」
「うーん…何でテニス部…」

選択ミスってやつだね真ちゃん。何故あんな危険そうな…っていうか絶対危険なテニス部に…!
その前にマネージャーはおもろそうなの…?きっと君しかそんなこと思ってないよ。

「そっちの方がええやんか」
「いや、だから何でよ」
「あいつらとおったら絶対楽しいて!」

目を輝かせて言われても…!

「あそこまで個性的な奴ら、他におらんわ」

うん、それは認めよう。

「しっかしなー…見た目だけじゃない?」
「誰が見た目だけやって?」

私の真後ろに白石くんが立っていた。あ、名前はあの後、真に聞いて知りました。

「あれ、白石くんじゃありませんかこんなところに何かご用でも」
「めっちゃ棒読みなんやけど」

すごく怪訝そうに私を見る白石くん。

「で、何の話しとったんや?」
「何でもありませんよ白石くんそれより白石くんは何をしに来たんですか白石くん」
「こないにいっぺんに名前呼ばれたん初めてや」

よかったね。
何がいいのかわかんないけど。

「そんなんええから、何しに来たんよ?」
「苗字さん、マネージャーになるっちゅーたやろ?」
「苗字…?」

何故に疑問形?

「…あ!名前の苗字やったな!」

友達の苗字くらい覚えておこうね。



100605