嵐到来


私の名前は苗字名前。四天宝寺中3年1組。ほんとにどこにでも居るような3年生という中途半端な時期に転校してきたポーカーフェイスな無気力女子中学生。
あ、ポーカーフェイスはちょっとかっこつけすぎた。ただ無表情なだけです。
ただ今、隣のクラスの友達に呼ばれたから遊びに来てたんですが、いつの間にやら何故かイケメンな方々4名に絡まれている。
えーと…どうすればいいのこの状況。

「自分が苗字さん?」

左手に包帯巻き付けた怪しい人に話しかけられた。顔はかっこいいのになんか残念。

「あ、はい…」
「敬語やのうてええのに」

にこにこしながら言われても初対面な訳だからそんなこと出来ませんよ私。チキンだから。

「えーと、何か用…?」
「あ、せや!忘れるとこやった」

1番大事なことですよねそれ。

「苗字さん、テニス部のマネージャーやらへん?」
「はぁ?」

思わず、口に出してしまった。まぁ、皆さん気にしてはいないようだからいいけれど。

「なんや国崎がな…」

話し始めたのは髪を脱色している男の子。
国崎というのは、転校してきて最初に出来た友達の国崎真(まこと)のこと。

「テニス部のマネ探しとるんやったら、絶対苗字さんがええ言うねん」

真が関係しているのか…何か納得。知り合ってから一ヶ月も経ってないけれど、それでもわかる。あの子はそういう子だ。
人を嵐のど真ん中に突き飛ばす子だ。
いわゆるトラブルメーカーってやつですね。
つーかまだ転校して来たばかりの人をこんな大事件に巻き込まないでほしい。
いや、すごくいい子なんだけどね…って。

「それだけですか…?」

まさか、それだけの理由で…?
もし、私の友達の悪ふざけのせいでこんなことになってるんだったら怒るぞ。
君達に。

「それだけて、何が?」
「他に、理由は…」
「特にないで」
「お前等馬鹿だろ」

あ、言ってしまった。



100605