シーン365


「小春うぅ〜!」
「ユウく〜ん!」

毎朝毎朝見る光景。どこのバカップルかと思えば、ただのアホである。

「なんやねん」
「なにがやねん」
「そのコントのことに決まっとるやろ」
「コントちゃうわ」
「じゃあ、なんやねん」
「素や、素」
「はあ?酢?」
「お前絶対わかってへんやろ」

(わかっとるわ)

心の奥深くで呟く。もし声に出して叫んだとしても、少しの意味もない。
何をしても、頭はいいのにどこか残念な男子生徒以外には振り向かないだろう少年を眺めながら、私の一日は過ぎて行く。

「ユウくん、一緒におトイレ行かへん?」
「勿論ええで!」

これもいつもの風景。休み時間の連れション。

「ユウくん、一緒にお昼食べへん?」
「勿論ええで!」

あれもいつもの風景。

「ユウくん、一緒に帰らへん?」
「すまん、今日は用事があんねん」

(…あれ?)

それはいつもと違う風景。

「苗字、俺、お前のこと好きやねん」


あれ?



100912