アイぱち!


「…なあ」
「ん?」
「キスしてもええ?」
「うん、いや」

現在、私の彼氏である光の部屋で適当にくつろいでいる。
学校帰りにそのまま直で向かったので、二人共制服のままだ。

「…今、うんって言うたやん」
「うん、でもいや」

意味わからん…とぼやく光。
しゅん、と落ち込んでいる様子の彼を見て、申し訳ない気持ちになる。

「…だって恥ずかしいんやもん」

ぽそりと独り言をつぶやく。
私だってしたくないわけじゃない。むしろしたい。
でも…

(声、出てまうねん…)

聞かれるのも恥ずかしいし、聞こえるのもすごく恥ずかしい。
悶々とそんなことを考えていたら、いつの間にか光の顔が目の前にあった。
もしかして、と思ったときには、遅かった。

ちゅっ

光の唇と私の唇が、くっついていた。
されてしまったなら仕方ない。
どうせ離してもまた、してくるに違いないのだから。
諦めて、目をつむる。
しかしここで予期せぬ事態が起こった。

「…ん、む」

まさかのディープ突入。
舌が入ってくる初めての感覚にびくりと震える。
すると光は私をぎゅっと抱きしめた。

「…は、ん……っ…」

脳みそがぴりぴりする。
私の舌がどうすればいいのかわからずに立ち往生していると、光の舌が絡めてきた。

「あ…んっ…はあ…っ」

(こんなん恥ずかしいわ!)

声には出せないので心の中で叫ぶ。
少しして光の舌は出ていったが、まだキスは続いている。
いつになったら終わるのかと、目を開けたら、光と目があった。
思わず光の肩に手をあて体を離す。

「…っ、見とったん…?」

問うと、悪びれた様子もなく「おん」と頷く光に私は抱き着き、首筋に噛み付いてやった。



(いった!)
(サイテー!)
(…でも名前が可愛かったんやから、しゃーないやん)
(しゃーなくないっちゅーねん!)



110222