ぽんぽん痛い


「よーしよしよしよし…」
「お前はムツゴロウさんか」

やたら頭撫でてくる白石につっこんで、真っ白な布団を頭から被る。

「ちょっと何してんねん」
「何って…うわ!」
「名前の顔見えへんやん」

なんとも意味不明な理由でベッドに潜り込んできた白石。狭いし近い。

「ここ保健室なんやけど」
「ええやん」
「よくないわ」
「保険委員長の権限で…」
「無理やろ」

つれへんな〜、とぼやく変態は放っておいて、鳴り響いたチャイムに、昼休み終わったんやとぼんやり思う。

「…………」
「名前」
「…………」
「名前」
「…………」
「名前」
「しつこいわ!」
「ご機嫌ななめやな」
「当たり前や、腹痛いねん」

白石に背を向け、今度こそ寝ようとする。ちゅーか白石は授業出ぇへんつもりなんか、はよ教室戻れよ、あーチャイム鳴ったし。なんか後ろで白石もぞもぞ動いとるけど何してんね、ん?

「ひゃっ…!」

首、ななな、舐めよった!

「や、やめっ…!」
「いやや」
「いや、やない、って!」

めっちゃキスしてきてんのやけど!ぶん殴ってもええんか!?
体もいつの間にか白石の両腕が抱き寄せていて、すごく密着している。
うわあああ胸触んなあああ!

「離せ、アホっ」
「アホで結構」
「あーもう、開き直んな!」

ぐるりと体を反転し、思ったより近い奴の顔と向かい合う。

「ほな、ちゅーしてくれたらええよ」

にこにこと笑顔で言ってくる白石に少々腹立ちながら、ありったけの愛を込めてアッパーを食らわせてやった。



101202