「メリクリ」

ただ一言それだけ言って、私はハリーに包装されたプレゼントを投げた。
数日前はハリーとの会話を途中で放棄するという珍しい失態をした私だが、どうにもテンションは浮上しない。これいかに。

所で、メリクリというのがメリークリスマスの略という事にすぐに思い至ったらしいこの賢いショタ従弟はにへにへと嬉しそうである。お前普段はそんな笑わねーだろ。何で私にだけそんなデレなん。

「ありがとう、ダリア!」

「あー」

………やはりテンションは浮上しない。
寒いからだ。冷え性な訳ではないが、群馬とイギリスじゃ冬の寒さに違いが在りすぎる。クソ寒い。
寒いのは嫌いなのだ。
この俺がもし風邪で倒れたら、一体何人のハニー達が嘆き悲しむと思っている。

「…ダリア」

「なんだ」

「最近なんか元気ないよ」

………ハリーという餓鬼は、普段私の状態がどうであろうと口を出すのを控えるような奴である。それが躊躇いがちにここ数日の私のテンションの低さを指摘したとなると、どれだけ酷いというのか。

「取り敢えず、これプレゼント」

「おお」

私とは違い丁寧に差し出された包みはやたらでかい。どれどれと開けて見てみれば、そこにあるのは布。

「……半纏、」

「と、膝掛けとソックスとカイロセット。どうかな」

「…………………ハリー」

お前最高。






数分後、寒さでテンションが上がらなかったという事を伝えると、ハリーは呆れたような目で暖かなミルクティーを淹れてきたのであった。



merry X'mas!!
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