「嫌なのか」

「…………」

「なまえ」

チッ、と舌打ちを無意識のうちに打っていた。独占欲強い恋人なぞ持つものではない。

「ミスはミスさ。後悔はしてないけど、正解じゃないからね」

それとも…今お前の前にいる私だけじゃ不安で仕方ないかよ、ハニー?

小首を傾げて余裕たっぷりに笑んでみせてやる。
こんなん相手じゃ主導権を握らないとやっていけない。私のプライドとアイデンティティ的に。
とはいえ、それはシリウスにも当て嵌まる性質なのが厄介だ。

「素直じゃないな、なまえ」

「お互い様じゃないかなぁ。
ほら、不安ならそう言ってみせてみなよシリウス。
駆け引きとはそういうものだろーよ?」

お前が先にこの私に縋ったんだし。

まだ余裕はある。少なくとも全てのカードは切ってねぇから。

シリウスは大人げ無く、べ、と舌を突き出した。
この野郎。
奴の顔は愉快そうに見える。

────私はその舌に多少強めに噛み付いた。



どうしてこうなったのか。納得出来るまではまだ、主導権は渡してやらない。





涙目で肩を跳ねさせたシリウスは、赤い顔を伏せて呻き出した。
このロリコンヘタレめ。





おわり


- 2 -
[*←] | [→#]
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -