10分経ったか20分経ったか、はたまた一時間か。
いつの間にか背中合わせにハリーがいた。破魔刀を持つ私に対し、ハリーは何も持っていない。
ハリーが最も得意とする得物は弓。乱闘には丸っきり向かず、しかも刀のようにみね打ちも出来ないからある意味物騒な代物だ。故に奴は素手で格闘してる訳だ。魔法相手に。

バトルロイヤル───そう宣言した筈が、私とハリーのイケメンコンビの狩場と化しているこの空間。テラ中二くさい。勘弁して。
飛んできた呪文をぶった切り、刃を反して相手を殴り昏倒させる。ハリーはきちんとプロテゴを常に掛けているようだった。主人公は中々魔力が強くていい。

「、らァッ!」

刀ではなく鞘を使った格闘でレイブンクローの五年の集団を散らす。もう殆ど残っちゃいない。
最後の数人を背負い飛ばし、蹴り上げ叩きつける。

────何だ。結構弱いじゃないか。

「私らの勝ちだぜ、先生」

流石に色を無くしたロックハートが、口をはくはく動かした。
リストバンドで頬を伝った汗を拭いながらハリーと目配せする。

大広間は不参加か敗者しかなく、多少茫然と私とハリーを見ていた。うん、何俺様そんなに格好よかった?

「さて、何でも一つお願いを聞いて頂けるというお話でしたね」

ハリーがさらりとした声音で言い放てば、ロックハートがぎこちない笑みをどうにかやっとという感じで浮かべた。

「い、…いいでしょう!何が欲しいのかな?私のサイン入り──」

「なまえ」

ロックハートの言葉を無視するように我が従兄弟は私の名を呼んだ。くく、コイツ最初から私の背中守る事しか考えて無かったらしいね。

「…ああ。
私達からのお願いはこうですよ、先生。……これから先、話し掛けるなと言われた人に対して御自分の教室以外で話掛けないで下さい。
それだけです。
お願いですよ。……約束を破ったら私の稽古相手を頼みますので。」

ニィ、と笑みがこぼれたのが解った。
私とハリーは、声を揃えてもう話掛けないで下さいとロックハートに吐き捨てる。


大広間に歓声が響いたのは、言うまでもない。



おわり。


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