開け放してあった大広間の入り口から飛来して手に収まった雷火を抜き、鞘をハリーに投げる。

大広間は騒然となった。
まず、刀など見たことない奴が大半だろう──辛うじて日本刀の存在を知るハーマイオニーが、大広間の隅の方で決闘を止めて!と叫んでいるが、ざわめきに消されていた。
安心しろ、殺しやしないって。

呆けている大衆が正気を取り戻す前に、と台を蹴る。身を屈め、師匠から仕込まれた縮地走法で一気に距離を詰めた。

「え、エクスペリアームズ!」

閃光を紙一重で交わす。続いて飛んできたインペディメンタ…妨害呪文を切り飛ばし、次の呪いはプロテゴで弾く。
相手の眼前まで詰めて、回転しながら上段後ろ回し蹴りをその頭に叩き込む。
床に倒れ込むそのスリザリン生の利き手の手首に刃を返して叩いて杖を落とさせ、それを踏み込んだ右足で踏み付けながらダンッ!と鼻先に刀を刺した。

「お前の負けだな」


騒然としていた大広間は今やしん、と痛いほどの沈黙に包まれていた。
一瞬の停止。
そして、誰かが息を飲み───俺のハニー達が、歓声を上げた。
つられるように一斉に大広間に歓声が広がる。鼓膜がビリビリするほどうるせーんですが。
私は自分の喉にソノーラスを掛けると、息を吸い込んだ。

「次の試合!」

ピタリ、と収まる騒音。
ローブを脱いでハニー達へ投げる。ついでにウインクも飛ばす。
ローブ邪魔だよね、ひらひらひらひら。重いしさ。ちなみに、中は男子用の制服に和柄のナイキジャージだ。

「形式はバトルロイヤル。参加しない奴は今のうち上座へ上がれ!勝った奴は───ロックハート教授に可能であれば何でも一つ願いを叶えて貰える…ってのはどうだ!」


- 2 -
[*←] | [→#]
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -