二次 | ナノ


▼ 01

「はぁ〜?ハグリッドがドラゴンの卵を孵そうとしてるだぁ?」

呆れ300%。思いっきり顔を歪ませてそう聞いた話を纏めると、ハリー達四人が揃ってシーッ!!!と唇の前で指を立てた。どうせ今日もセレマが防音魔法掛けてるから。

セレマに引っ張っていかれた先で『エルロンド会議』に参加してから既に数日が経ち、おそよ試験一ヶ月前の土曜日の昼、いつもの賢者の卵の会にて。

「そんなもんどこで手に入れてきたってんだよ」

ガシガシと頭を掻き毟りながら、ボソリと声を落とす。確か、フラッフィーの情報を聞き出すためにクィレルが用意したんだっけっか。

「昨日の夜、ホグズミードのパブに行って、そこで賭けに勝ったんだって……」

がっくりとハリーは肩を落とす。でっかい友人の仕出かした事を受け入れられないらしい。
ロンは呆れ返ったような表情だし、ハーマイオニーは突如として持ち上がった問題に頭を痛めているし、ドラコは血の気の失せた顔を能面のように凍らせて、

「流石に……流石に看過出来ない。このホグワーツにドラゴンの卵を持ち込んで、飼育しようとしているだなんて」

と冷たい声で呟いて、ロンとハリーに睨まれている。

「ハーマイオニー、ドラゴン飼育に対する刑罰って分かるか?」

「今朝のうちに調べたの。ハグリッドはドラゴンをただ飼育したいだけだから、六ヶ月以上七年以下のアズカバン幽閉だけど……こんな事言いたくないけど、ハグリッドの場合もっと重くなる可能性があるわ」

ああ、そうだろうな。差別対象なんだっけ?巨人とのハーフは。
それほど重罪にならないなら告発するって手もあったんだが、このまま完全にハグリッドにご退場頂く事になりかねないのはちょっとマズい。

ハグリッドを庇う気がないと思われたのか、私までロンとハリーに睨まれる。
まあ落ち着け、と二人を宥めて、紅茶を飲んでペースを保つ。

「とりあえず、卵を孵すっていうハグリッドの説得は出来なかったんだな?」

「僕がワーロック法について言ってみても、聞く耳持たずだったよ……」

ロンが項垂れた。
そうか。そこまで覚えてなかったけど、ハグリッドは犯罪だって分かっててドラゴンの卵を手に入れて、その上で孵化させようとしていると。

「無理だな。庇えねえ」

あっさりとそう言うと、「ダリア、」と縋るような目でハリーが私の名前を呼ぶ。

「もう一回言うが、無理だぜハリー。まだ卵の状態でどうにかする気が本人にあるならまだしも、孵そうとしてんだろ。どうしようもないだろうが」

投げ遣りに背もたれに身体を投げ出す。ギッ、と軋む音がシンと静まり返った部屋の中に響いた。

「でも……放っておく事は出来ないよ」

「ならお前も共犯だ、ハリー。学生だからハグリッドよりは罪が軽くなるかもな」

それを選ぶならそれでもいいだろうさ、というニュアンスを込めて突き放せば、ハリーも流石に口を噤んだ。
そうそう、そうやって黙っとけ。お前は自分がそんな事に身を投げ出しちゃいけねえって分かってるはずなんだから。

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