二次 | ナノ


▼ 29

「今日は顔合わせを兼ねてのお茶会ではありますが、何か聞いておきたい事などはありますか?」

セレマの質問に私は盛大に唸った。
聞きたいことはそりゃあ山ほどある。が、何から手を付けていいのやら分からん。
ので、取り敢えず確認しておきたい事だけ確認する事にした。

「……フリットウィック先生はダンブルドア校長に協力して、ウィザード間の勢力争いに参加している。これは事実ですか?」

「ええ、勿論ですとも!例のあの人は非常に危険です。それに、私はウィザードの社会でウィザードとして生きています。無関係というわけにはいきません!いえ、セイジとて魔法族である以上、例のあの人に無関心でいられるという訳ではないのですが」

「ギリシャまでいくと遠い外国の凶悪犯程度の認識なのですけどね」

「なるほど」

関係性が複雑で面倒くさい。自称イスタリこと『賢者』とやらは、セイジ、ウィザード、外国の魔法使い、他ヒトたる種族の何れに関係無く、ただ『真理』とやらに生きる存在のグループ名らしい。

セイジは大陸から齎された魔術系統とは別の魔法を使う魔法族で、どうやらエルフとも付き合いがある。
ウィザードは逆に大陸由来の魔法系統を使い、エルフとはそれほど付き合いは無いらしい。
そしてエルフは……生まれつきの『賢者』の資格を有する種族。つまり、『視覚』を持つ存在。そしてマグルとの繋がりを持つ。

ん。待て。マグル?

「……ニコス先生」

「はい、なんでしょう?」

「先生って、ウィザードが定めるところのマグルだったり、します?」

これは完全なカンだった。けど気付いてしまえば。……この、白眼もどきで見えるものに気付いてしまえば。

「……どうしてそう思うのですか?」

ニコス先生は穏やかに尋ね返した。

「『力』の流れが、魔法族と違うから」

そのうねりはまるで師範や師範代のようだった。けれど彼女達よりももっと激しく、豊かで、澄んでいる。
明らかに……明らかにセレマやフリットウィックのそれとは異なる流れだった。

「…………本当に察しが良いですね」

肯定、と受け取る。
……マジかあ。ニコス先生、どうやって魔法使ってるの。
彼は授業中などに普通に魔法を使って見せている。講義中心の授業ではあるけれど、魔法族だと疑いようも無い程度には、折々でその魔法の力を見せつけているのだ。

「ちょっとした課外講義をしましょうか。……魔法族というのは、生まれつき魔力を有する人達のことですね。人間にはあまり当てはめませんが、そういった生き物の事を魔法生物といいます。国際魔法連盟は、この魔法生物の定義から外れた存在を非魔法族として扱います。つまり、マグルやスクイブの方々です」

なるほど、と私は頷く。講義だというのなら大人しく聞いておこう。

「ところがこの生まれつきというのが、だいたい十歳になる頃までという基準で判断されるものでして」

「ああ……」

英国魔法省の管轄に住む子供は、魔力が発現するとまずホグワーツのリストに名前が出る。そういう魔法が存在する。

「基本的に、生まれつき魔力を有する人は十歳までに魔法に目覚めますから、それで良いわけなのですが。世の中には後から何らかの理由で魔力に目覚めた人というのがおりましてですね。……ほら、マグル社会でも有名でしょう?事故の後に超能力に目覚めた人とか。必死で勉強して魔術を身に着けた人とか」

「実在すると」

「実例がここに二人もいるじゃないですか!」

…………二人ィ??



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