二次 | ナノ


▼ 28

さてこの集まりは一体何なのだろうか。
昼食代わりの軽食を一通り食べ終えた所で、私はぐるりと席を囲む三人の顔を見渡した。
この世のものとは思えない人外の美貌の少女セレマに、明らかに外国人の顔のおっさんことニコラウス・サマラス先生、そして明らかに異常なほど小柄なフリットウィック先生。

……一番謎なのは、この場にこのフリットウィック先生が同席している事だった。
私、セレマ、そしてニコス先生には共通点がある。それはハリー・ポッターという物語において、原作でも映画でも、その存在が言及されていないという事だ。
私だけはちょっと事情が異なるか?いや、ダリアという名前の女である時点で原作に出て来ないのは確かだな。

「……セイジ、じゃないな。ローゼンクロイツ、よりは、エルフの縁者の可能性が高いかな」

飲みきった紅茶のカップをソーサーに置くと同時にそう切り出すと、三人はふっと私を観察するかのようだった視線を緩めた。

「それほど違いがあるわけじゃなさそうですが」

「……本当に聡明な子です。確かにその三つには切っても切れない関係が存在する」

ニコス先生の感心したような声に、セレマがふふっと笑い声を上げる。

「いや、簡単でしょう。セイジ云々についてはイギリス魔法省の範囲の問題に過ぎないから、ニコス先生がいる時点で除外。ローゼンクロイツに関しては……というよりエルフの線の方を疑ったのは、フリットウィック先生が居るので」

フリットウィックの存在があればこそ、魔術結社に関する云々よりは種族に関するあれこれだろうなと読めた。何しろ彼はゴブリンの混血で、エルフの混血であるセレマとの共通項だ。
何しろ──ゴブリンがドワーフの末裔だって話は、セレマ自身から聞いた事だ。

「なるほど、素晴らしい」

「それで?ニコス先生は何なんです?ドゥーネダインかな、それともイスタリとか?」

「……いや、私は違いますよ。無理に言うならばハラドリムかもしれませんが」

私の冗談に、くっくっ、と笑い声を上げながらながらニコス先生は否定する。

「それに、我々はある意味では皆イスタルと言えます」

「魔法使いと賢者は別の概念だと思うのですが」

「いいえ、我々ですよ。魔法族ではない。我々の事だ。ここに居る私達のことです」

 それからあなたの友人達もそうかもしれませんね、とフリットウィックが面白そうに付け足す。友人達……?ああ、『賢者の卵』か。

「個人の資質によるものと、エルフになんの繋がりが?」

「大いにありますとも。何故なら彼らは生まれついて真理に迫る。常に我々の先達であり、中心であり、そして遠い兄であるのです」

私は自分の目に手を翳した。セレマが僅かに頷く。
なるほど、これが一つの『条件』か。

「……『 』に近付く、とかそんな型月の魔術師じみた事は言わねえよな?」

思わずボソッと呟くと、流石に意味が分からなかったのか三人は揃って首を傾げた。

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