二次 | ナノ


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警戒、支援、注意の対象を定めたハリー達の動きは実に巧妙だった。
四人の立てた行動方針はシンプル。暗躍を防ぐためにクィレルの行動を阻害し、スネイプの自由な時間を増やし、そしてハグリッドの情報漏洩に注意する事だった。

第一に、ハリーが盗み聴きした会話から、クィレルはまだフラッフィーの攻略方法を知らない可能性が高い事に四人は気がついた。
そこでハリーとロンがなにくれと理由をつけては毎日ハグリッドに変化が無いか確認をしにいく事になった。

第二に自由に動かれると面倒なクィレルについてはハーマイオニーやドラコが期末試験への不安を理由に、授業内容などについて質問をしに行くことで行動の制限を行った。
防衛術の授業に対して不満のある生徒は多い。そういう連中を二人は巧みに煽動して、クィレルを質問責めで身動きのとれない状態にさせたのだ。クィレルは授業の終わりから消灯時間の寸前まで、毎日生徒に囲まれる事になった。

最後にスネイプの自由な行動に関してだが……

「今のところは上手くいってるようだな」

「ああ、まあ、何とかね。こっちは兄貴達がよくやってくれてるよ」

「なんとかコントロールしきってくれ。グリフィンドールが手を出さない限り、こちらからは手出しを出来ないように煽ってるんだ」

何とこれはロンとドラコの共同作戦が行われた。

スネイプは割りと忙しい。寮監を務めるスリザリンの生徒がグリフィンドールとしょっちゅう諍いを起こしては呼び出されるためだ。
そこでロンとドラコはまるでチェスでもするかのように、互いの寮の人間を動かして、騒ぎを起こさせないようにしたらしかった。

ロンは寮の中心人物である自分の兄達や、それを通してクィディッチチームのメンバーに話を通して、寮杯を狙うためにスリザリンとなるべく関わらず、スネイプにも近寄らず、期末試験では誰一人として落第科目を作らないようにマクゴナガルの監督下での勉強会を頻繁に開かせる事に成功。
ドラコの方も殆ど同じように、発言力のある純血で寮の方針を打ち出して生徒の動きを統制し、またグリフィンドール生にちょっかいを掛けるのは品性に劣る行為だと嘲笑する空気を寮内に作り出す事で行動に制限を掛ける。

互いの寮の間は冷戦のような状況に陥ったが、紛争状態よりはまあ、マシだろう。どうせ期限を学期末までに調整してある。それに寮杯を巡って争ってるのだから、けっこう健全なんじゃねーの。

「では行きましょうか」

それらの作戦が上手く効果を発揮している事を確認する事数日。
最近黙りがちだったセレマが、突然そう声を掛けてきたのは、金曜の魔法薬学が終わった放課後だった。

行くってどこに。

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