二次 | ナノ


▼ 19

クリスマスから年明けを経て三週間ほどをプリベット通りで過ごした私とハリーは、再びマグル的な日常生活から離れてキングズクロス駅からホグワーツへと戻る。
流石に二回目という事で、ペチュニアさんが泣くこともなければ、私が苛立つというような事も無かった。

スプリングタームの始まる一日前に発車したホグワーツ特急の中は、普段マグル社会に溶け込んで生活している連中ばかりで、勿論マグルの両親から生まれたハーマイオニーの姿もあった。
魔法族は付き添い姿現しなんかでホグズミード駅まで子供を送り迎えしたりするのだろうか。或いは、ホグズミードから煙突飛行を利用して行き来をしているとかもあるのかもしれない。
とりあえず生徒全員が帰宅する夏休みとはやや事情が異なるのは確かなんだろうな。

そんなわけで夏よりは席の空きが多いホグワーツ特急ではあるが、休暇中ずっと一緒にいたハリーと過ごすのも代わり映えが無さ過ぎてアレなので、ハーマイオニーと、それからややニキビの酷い顔をうつむかせた女子の居るコンパートメントの扉をノックした。

「よぉ、ハーマイオニー。素晴らしい休暇を過ごせたかよ?」

「ダリア、ハリー!元気にしてた?」

「見ての通りだよ、ハーマイオニー。僕達、ここに相席してもいいかな?」

「勿論よ……あ、私は良いんだけど、ミス・ミジョンがオーケーならって事よ」

ハーマイオニーと同席していた女子生徒はミジョンという名前らしい。彼女はマフラーと髪に顔を殆ど隠すようにしつつ、蚊の鳴くような声で「構わないわ」と言った。

私がその子の隣に、ハリーはハーマイオニーの隣に座る。
横目に隣の様子を窺うと、別に話しかけてくれるなというような空気を出している訳でもなかったので、自己紹介をすることにした。

「えーと、これまで喋った事一度も無いよな。私はダリア・ダーズリー、ハーマイオニーのルームメイト。で、後ろは私の従弟のハリー。君は?」

「……エロイーズ・ミジョン。ハッフルパフの一年よ」

「って事は、薬草学ですれ違ってたかもしれないのか」

薬草学はスリザリンやハッフルパフと頻繁に合同授業になる授業の一つだ。多分、植物の飼育や観察、実験といった実技タイプの授業が多いからだろう。
ちなみに同じような授業タイプは呪文学。より危険性が高い魔法薬学や変身術はクラスを分割して少人数制の授業になっていたりする。少人数にするのに別のクラスとの合同授業にするのは、寮内だけで生徒の関係性が閉じないようにって事なんだろうか。

「そうね、でも薬草学の時は人数が多いから」

「ああ、まあ、合同になると七十人近くが集まる授業だしな」

私とエロイーズはお互いに肩を竦めた。七十人も集まれば、同じ授業を受けていても顔見知りにならない奴なんて幾らでも居る。
特にグリフィンドールはスリザリンと合同授業になる事が多く、ハッフルパフ生とは薬草学か、週に一度しかない魔法倫理の授業のどちらか、レイブンクローに至っては魔法論のみが合同になる授業だけど、それも日によってそもそも合同にならなかったり、スリザリンとの合同だったりといった状態だ。
よっぽど有名人だとか、授業中にペアを組んで何かをするとかでもない限り、ハッフルパフ、レイブンクローの生徒の名前や顔なんて覚えられないものなのだ。

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