二次 | ナノ


▼ 17

ダーズリー家のクリスマス・ディナーは、一昨年も去年も今年も大体同じ伝統的なメニューだ。
伝統。なんともはや、イギリス人を象徴するような言葉じゃないか。多分、きっと、いや確実にこの家は来年も再来年もそのずっと先まで同じメニューが続いてくんだろう。
クランベリーのソースを掛けたローストターキーに、併せて作ったスタッフィン。付け合せの野菜だけは去年からポテサラになった。使ってる野菜が殆ど変わらんからな。それに、絶対に欠かせないのがミンスパイとプラム・プディング、アルコールを飛ばしたモルドワインだ。

「それで、あの──実に忌々しい方法で届けられたプレゼントは、どんなものだったのかね?」

お祝い事だというのにバーノン親父が一日中顔を引き攣らせているのは、昨日の夜中のうちにフクロウ共が押し寄せて置いていったクリスマス・プレゼントが原因だ。
私とハリーは無駄に夫妻を刺激しないよう、基本的には住所を控えて郵送という手段を取り、マグル社会との関わりが完全に絶たれたどうしようも無い場合に限って直接店から相手にフクロウが届くような通信販売のものを用意している。
事前に相手にも頼み込んでいた事もあって、届いたフクロウは純血の魔法族からのものに殆ど限られた──つまり、マグルと一切関わらずに生活してる連中からのものだ。

「マグルの社会で暮らした事のある連中からはちゃんと郵便で届いたでしょ。しかも、それが殆どだったじゃん。魔法族の誰も彼もにマグルの常識が通じないと思うのそろそろ止めなよ、パパ。郵便で送ってきた家族とパパって何にも立場が変わらないんだよ?」

クリスマス・クラッカーの王冠を頭に載せたまま、私はもう慣れきったクソ生意気そうな娘ちゃん喋りでそうバーノン親父に捲し立てる。

「ン──まあ、意外とそれも多く……ウーム……」

そうしてバーノン親父をやり込めて、今朝クリスマス・ツリーの傍らで開封したプレゼントに思いを巡らせた。

まずはマグル出身筆頭のハーマイオニーだが、彼女からはプレスタのチョコレート・ボックスが届けられていた。私のはプラリネトリュフで、ハリーのものは薄く円形に広げられたウェイファーというものだった。
ハリー、後で分けっこな。これは決定だから。

それから、愉快なマグル社会学習の一巻として郵便局を利用してみたドラコからも郵便でプレゼントが届けられている。
凄い。あの原作では純血主義の代表キャラだったドラコが郵送でプレゼント。マジでヤバい。
但し中身はれっきとした魔法族由来のもので、海外の魔法族や魔法学校についての本だった。
ハリーも何かの本を貰っていたと思うが、何かまでは見てない。

エステラからはオリーブ由来の石鹸が来た。ペチュニアさんが随分と喜んでいたな。なかなか気の利いた贈り物だと思う。

逆に私宛でフクロウで届いたものといえば一つしか無い。
何故か送られてきたウィーズリー家からの手作りのファッジだ。

ハリーの方はもう数点、多分ネビルとかハグリッドとかその辺からフクロウで送られてきたものがあったようだが、やはり総数としては圧倒的に郵送で送られてきたものの方が多かった。

魔法族の皆さんだって、わりとマグル社会に順応してたりするんだな、と実感出来る結果だった。


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