二次 | ナノ


▼ 15

特に何事も無いまま一月が過ぎて、ホグワーツはクリスマス休暇に突入する。
無論、私とハリーはプリベット通りに帰省した。

「……お帰りなさい、ダリアちゃん!」

キングス・クロス駅のホームでバーノン親父とペチュニアさんが待っていた。感極まった泣きそうな顔に相変わらずだなと思いつつ、一応「ただいま」と声を掛けておく。
ヘイ、マム。ハリーも一緒に帰って来てるって知ってるか。私をハグしたまま離れようとしないペチュニアさんがハリーの存在を視界に入れないので、仕方なくバーノン親父に顎をしゃくってハリーに声を掛けさせた。

「ン、アー……オッホン。おかえり、ハ、ハリーや。車にトランクを積むのを手伝ってくれんかね?」

「はい、おじさん」

二人はぎこちない様子でカートを押して歩き出す。ほらママ置いていかれるよとペチュニアさんに声を掛けると、しっかと肩を抱えられて歩くはめになった。
骨が刺さって痛いんだけど。

こうして私とハリーの初めてのクリスマス帰省が始まった。



「ダリア、ハリー!久しぶりっ!」

「ティム!元気そうだな」

久々に顔を出した道場にはおなじみのメンバーが揃っていた。
たった数ヶ月でそう大きな変化は無く、一番チビのティムも相変わらずぴょこぴょこと跳ねて、元気っ子アッピルぐうかわ破壊力ばつ牛ンだ。

「ダリア、おいで。少し組手をしよう。身体動かしたいでしょう?」

「え、師範代が組んでくれるの?やった!」

師範代も相変わらずの大和撫子っぷりで美しい。
袴に着替えた私はさっさと準備体操を済ませて、師範代と向き合った。あ、今更だが、ここの道場では道着じゃなくて袴が練習着である。剣道とか弓道とかもやるからかな。総合格闘技っぽい古武術なので、より着物に近いスタイルなのかもしれない。

「いつも通り、『舞』からね」
「はい」

『舞』というのは動きが決まっている約束組手の事だ。
本来組手というのは空手の用語だけど、まあ、『型』といって大抵の武道には同じようなものがあり、特に古い武術だと演舞になっていたりする。
東南アジアのシラットなんかは、半分くらいの流派が殆ど演舞の稽古になってるらしい。

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