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そんな訳でニコラス・フラメル探しのイベントがまるっとカットされました。やったぜ。
実際問題として、マグルの通信教育を受けている私とハリーは忙しい。余計な調べ物をしている場合では無いのである。
「でも確かにダリアの言ってること、分かるわ。確かに私達、ホグワーツに入学したらマグルの社会ではまともな仕事に就けないわね……。中等教育をほぼ抜かすようなものだもの」
最近この通信教育の勉強に、ハーマイオニーがドラコと共に参加する事が増えた。基本的には私とハリーの横で一緒に課題に取り組むドラコをハーマイオニーが助ける形だ。
「魔法使いになった時点で、卒業後に魔法族の社会から出ようって考える存在自体が魔法族の視点には無い感じだよな」
「英国教育省はどういう風に私達を認識してるのかしら。ホグワーツが学校として登録されているかどうかも怪しいわね。やっぱりホームスクーリングとして扱われるのかしら？」
イギリスではホームスクーリング、つまり自宅での教育は合法だ。日本と違って子供を全員学校に通わせる義務は無い。
これは魔法省でも同じで、魔法族として生まれた子の中にはホグワーツのような魔法学校に通っていなくとも別に問題視はされない。マグル生まれやハリーのようにマグル社会で育った子供だけは、魔力の制御が必要とされるため入学必須らしいが、それだって周囲に悪影響を及ぼしかねない魔力量の持ち主だけだという。
つまり、スクイブじゃなけりゃって事な。
英国魔法省とセージの間にそれほど具体的な問題が持ち上がらないのはこの制度のおかげだったりするらしい。
「かもな。何にせよ、ホグワーツ卒業後にそのまま第三期教育に入るのは困難だと思う。ただ第三期教育の年齢層から考えると、長期的なスパンではマグル社会への復帰は不可能じゃないけどな」
「……どこと比較してるの？」
「日本」
また日本、とハーマイオニーが不思議そうに首を傾げる。
いや、たしかに英国民としてはマジで謎チョイスなのは分かってる。分かってるんだけど、日本は私の母国だからしょうがないのだ。
戸籍法で雁字搦めになっている日本の教育を一通り受けた身としては物凄く奇妙な事に思えるが、この国では就学、就職においてその人間がそれまでどこでどんな育ち方をしてきたのかという事はあまり重視されない。
じゃあどんな事が重視されるのかといえば、学歴、金、あと血統。まあ、そんなもんだ。
……ちなみに言うと、この国が住民の詳細な把握を始めたのは二十世紀に入ってからの事で、実はまだ百年も経ってない。
第一次世界大戦やる前の政府は国内に何人国民がいるかさえはっきり把握してなかったんだぜ……マジかよ……。
まあ貴族階級とか残ってるし、社会法も随分日本とは違っている。
最悪、魔法省が多分なんとかするんだろう。多分。
あー、何が言いたいのかというと、英国国土で生まれ育っている魔法族の皆さんはマグルの政府機関に出生届なんかを提出してないから実は英国市民として登録されてはいないんだが、日本の無戸籍者ほどの問題にはならないという事だ。
まあ身元がはっきりしないとコンビニのバイトという労働者階級の代表的な仕事ですら出来ないようなあの国が異常なほど管理されてるんだとは思うけどな。
国民を徹底的に管理する事はこの国では人権問題的な意味であんまりよろしくはないようだ。カラオケ屋の会員登録でさえ身分の証明が求められる国とは違うのである。
……一歳になるまで魔法界の魔法族として育ったハリーが問題なくマグルの公立校に通えていた時点で、きっと法的な問題は解決されているのだろう。多分。きっと。
考えれば考えるほどドツボにはまる気がするのでもうこの話はやめるめう！以前考えていた人口云々ももう気にしないでおくめう！(´・ω・｀)らんらんは豚だから難しいことはわからないよ。
いや私は豚は結構前に脱却したんだったか。めんどくさいこと考え過ぎると知能指数が低下するな。
「学校を卒業した後の上級教育は一応存在するにはするが」
私とハーマイオニーの他愛ないやり取りを聞いていたドラコが口を挟む。
普段つるんでるメンバーの中で、ドラコほど魔法族社会に詳しい奴はいない。
通俗的な事はロンの方が詳しいかもしれないが、あいつは社会構造なんて気にするような性格じゃないしな……。
「えっうっそマジで？でも事前に貰った魔法界案内パンフにそんな事全く描いてなかっためう！」
「めう…？あー、英国には存在しない。あるのは海外だけだ。大抵は18歳、成人で教育は終了となるが」
「そういやニコス先生がギリシャでは上級教育をするための学校があるって言ってたな」
「……ねえ、気になってたんだけど。それって魔法界には大学は殆ど存在しないってこと？」
「ダイガク？」
怪訝な顔で首を傾げたドラコにハーマイオニーはなんて事なのと顔を覆った。多分ハー子の考えてる大学ってのは教育機関じゃなくて研究機関としての大学だと思うけど、うーん、魔法族は個人研究が主流っぽい感じがするわ。
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