二次 | ナノ


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自分で育てておいて何だけど、ハリーの洞察力と推理力がぶっちっp……じゃねえや、お食事中の皆ごめん、予想だにしてないレベルで成長していてやばい。
もうキャラ改変ってレベルじゃねーぞ、オイ!ぽやっとしたハリーが好きだった人、すまんな、本当にすまん。
まあ育成環境があれだけ違ったら今更だから、それは備えてないヘッズが悪いのだ。備えよう。備えは大事。古事記にもそう書かれている。

「あー、取り敢えずだけど、何がどうなってそういう結論に至ったんだか詳しくよろしく」

「そうだな。突然死喰い人と言われても……根拠がさっぱり分からない」

順を追って話すように促す私とドラコを他所に、視界の端では我関せずといった表情のセレマが紅茶を啜っている。
だけどその身体から薄っすらと白い湯気のようなものが立ち昇って、糸のように広がるのがぼんやりと見えた。

えっと、……防音とか盗聴防止の類の魔法か?魔法の内側と外側を隔てるような、白い流れが見える。人避けかもしれないし、ひょっとすると透視の防止とかの可能性もあるか。

私がそちらに視線を向けると、セレマはふんわりと微笑んで、そっとその唇の前に指を一本立ててみせた。
はいはい、勿論余計な事は口には出さねーって。

「オッケー。分かった。一つづつ話すよ。最初はグリンゴッツだったかな。ハグリッドが特別な金庫から、ダンブルドアの命令で何か小さな包みを取り出したんだ。その時は僕はそれが何だか分からなかったけど、今日ハグリッドがニコラス・フラメルの名前を漏らして、それが何か分かった」

「……ちょっと待ってくれ。どうしてマグル育ちのハリーがその、ニコ……なんとかという奴と賢者の石?をすぐに結び付けられるんだ?そいつは魔法使いなんだろう?」

混乱したように話を中断させたドラコに、ハリーは何を言ってるんだと顔を顰める。

「ニコラス・フラメルっていや、マグルでも有名な魔法使いなんだよ。魔法族とマグルの社会が分離してない頃の記録や逸話が残って、オカルトとしてマグルに伝わってんの」

しょうがないので私がそっとマグルからの『魔法族学』を補足してやった。
どうやらこういう認識においてもマグル側と魔法族側の間には溝があるらしい。めんどくせ……。

「へえ……マグルは魔法について何も知らないと思ってたけど、そうでもないんだな」

「ドラコは後で世界史やろうな。んで、ハリー、続き」

「ああ、うん。この学校に今その石があるっていうのは四階の廊下が根拠だよ。あそこへの立ち入り禁止は今年から出来た校則でしょ?そしてあの廊下には三つ頭がある犬が居て、足元にある隠し扉を守ってる。ハグリッドもあの三頭犬──フラッフィーって名前らしいけど──を、何かを守るためにダンブルドアに貸し出したって言ってた。あの奥に賢者の石を隠してるんだ」

さらっとハリーが三頭犬の事をぶちまけた瞬間、ドラコは頭が痛そうにデコを抱えて呻く。おい、そんな事してるから将来ちょっとデコ広くなるんだぞ。生え際に刺激を与えるのはやめておけ、後悔するぞ。

「……んじゃ、死喰い人云々は?」

「入学してすぐの頃、ハグリッドの小屋で新聞の切り抜きを見たんだ。グリンゴッツに侵入して、しかもそのまま逃げ遂せた闇の魔法使いの記事だった。……ごめん、これに関しては本当に死喰い人かどうかは確証は無い。でも、その可能性は高いと思ってるんだ。理由は、ダンブルドアが自分のフィールドであるホグワーツに石を移したから」

肩を竦めたハリーに、ドラコはとうとう何も喋らなくなって眉に皺を寄せて腕を組み、黙り込んでしまった。

「まあ、ダンブルドアの権威に脅威を感じるのは別に元死喰い人の連中だけじゃないとは思うけどな……」

本当は、ハリーの並べた根拠だけではただの元死喰い人が賢者の石を狙う理由付けにはならない。
あの石から得られる命の水は不老不死を与えてくれるが、外因的な死に対しては実は無力だし、大抵の死喰い人は資金力を有してる筈だ……一応、それだけはハリーが三頭犬を見つけてすぐに調べておいた。
半分亡霊となったヴォルデモートだからこそ明確な生命を取り戻すためにその存在が必要な訳だが、まあ、即死呪文をリフレクされた奴が実は残機があるから生き残ってましたー!、なんて誰も考えたりはしないだろう。

1990年代のUK魔法族共に、1985年発売のマリオで広まった概念の存在を知っとけという方が無茶な話だ。

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