二次 | ナノ


▼ 08

明日はいよいよハリーのクィディッチデビュー戦である。
相変わらずクィディッチへの熱気で浮かれまくっている校内に、静かなところで集中力を高めたいというハリーの要望を聞いて、俺達謎の六人組は湖の畔に敷物を拡げている。
寒いので背中合わせに座っているが、各々持ち寄った菓子やら茶やらを回し合っているので、ちょっとしたピクニックのようになっていた。

「ハリー、明日は目立てよー」

私がケケケと笑いながらそうからかうと、ハリーは「そんな気がなくても勝手に注目の的になるよ」と零した。なんだ、元気ねぇな。
ハリーが特例でもってクィディッチチーム入りした事は、既に公然の秘密となっている。秘密とは一体。

「皆僕に勝って欲しいと思うなら、もう少しそっとしておいて欲しい……」

「ははは、寮の連中に伝えたら全力でハリーに構うスリザリン生が見られたかもな」

「勘弁してよ、ドラコ」

ドラコはスリザリン生として、自寮の勝利を望んでいる。ハリー個人への応援も勿論しているが、別にグリフィンドール自体の応援はしてない。
私達と仲がいいが、寮杯の行方に関しては別問題らしい。
故に授業でも点数加算を貪欲に狙ってくるし、賢者のたまごの会で得た知識を利用する事に躊躇いがない。とはいえそれはこちらも同じなので、フェアと言えばフェアだ。
お互いに点数を下げようとするような真似もしないしな。実に健全な学生生活である。

「ハリーでもやっぱり緊張するんだね」

しみじみと呟いたのはロンだ。相手がハリーでなければ騒ぎまくっていたであろうこのクィディッチ大好き野郎は、ハーマイオニー事件を通して一足早く精神的な成長を迎えたらしい。ハリーの望みをきちんと汲み取って、その緊張を解すべく、ゆったりとリラックスした様子を見せていた。
何がすごいって、その様子が完全に擬態である事だ。
ロンはハリーから離れた瞬間、クィディッチの話題と練習中のハリーの動きと才能がいかに素晴らしいかを延々寮生に向かって演説するという完璧なハリーギークに変貌するのである。

「ロン、君、僕を一体なんだと思ってるわけ?」

「ダリアに鍛えられた従弟にして弟分。」

「おい、なんでそこで私の名前が出るんだよロン」

「あー……、確かにダリアは緊張とは無縁なタイプだな。人の目を気にしないというか」

「うるせぇぞドラコ」

「寧ろ積極的に目立とうとしてるからね」

「お前も道連れだぜハリー。俺とお前でホグワーツ一のイケメンコンビ」

「ハリーは元々ネームバリューがあるから、ダリアと一緒に目立っちゃった方が穏便じゃないかしら?」

「ハーマイオニー、僕がどうやったら静かに目立たずに暮らしていけるのか考えてくれないかな」

「無理ね」

今日も泰然と微笑んで静かなセレマを除き、全員でわちゃわちゃする。
廊下からしばらくスネイプがこちらをじっと見ていたが、やがて腹立たしそうに去っていった。なんであいつあんなイラついてんの?

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