二次 | ナノ


▼ 02

ちょっと目を離した隙にこれだもんなぁ。

妖精の魔法の時間、フリットウィック先生は浮遊呪文の練習のためにペアを作った。原作やら映画ではどうだったか忘れたが、ハリーはネビルと、ハーマイオニーはロンと、私は同寮の男子シェーマス・フィネガンと、セレマはエステラと組まされた。

二ヶ月もすると、ハーマイオニーとロンの対立は手が付けられないほどに激化していた。
魔法倫理の時間のディスカッションを引きずった口論が次第に相手への口撃へと変化するようになったためである。
お互いにプライドが高い上、幼稚な精神で、議論そのものの重視ではなく論破による勝敗を重視しているせいだ。

二人の仲の悪さを知っているグリフィンドール生は最初ハラハラしながら二人を見ていたが、軈て自分達の呪文の練習に没頭していった。
私はといえば、ペアの相手であるシェーマスが杖の振り方を忘れて羽に突き刺さんばかりの動きをしていたため、それの矯正に忙しかった。

そうして誰も止める奴が居ないまま、ロンとハーマイオニーの喧嘩は勃発した。

「何であいつ、あんなに上から目線で偉そうなんだ!?『ウィンガーディアム・レビオーサよ!貴方のはレビオサー!』こんな言い方、誰だって頭にくるよ!」

苛立ちに任せてロンががなる。映画で聞いた嘲笑の響きは無い。あれは陰口だったが、これは聞かれても構わないと思っているからだ。
二人は授業中に既に言い争いをした後だったのか、授業終了時にハーマイオニーは教室を飛び出して行ってしまった。
今回はどちらかと言えばロンが正しい。ハーマイオニーは同年代の男子の殆どを見下している。この年齢は女子の方が概ね精神的な成長が速く、男子の子供っぽい行動に苛立ちがちなのだ。ハーマイオニーはロンの呪文の間違いを苛立ちに任せて口撃の材料にした。そこには悪意があった。
この年代の男子は確かに子供っぽく馬鹿だが、女子は既に陰湿さを得ている。本人も周囲も気づかないまま。

「まぁまぁロン、そう怒るな」

宥める声は一切含ませずにロンの肩に腕を回した。

「怒るなだって!?」

「うん、そう。考えてみろよ、自身が聡明であるというプライドの塊であるハーマイオニーは、今回の発端が自分の方の子供っぽさであるという事に気付いて少しは恥じてる筈だ。そこでお前が寛大に接してやるのさ。つまり、自分の方がお前より大人だと思ってる彼女に、お前が大人な対応をしてやるんだ。相手は恥ずかしくて、もう二度と見下した言動なんか取れなくなるぜ」

「悪魔の囁きだ」と小声で呟いたハリー、後で覚えてろよ。

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