二次 | ナノ


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ハリーに寮監からの熱烈な応援箒が届いたり、勉強したり、賢者の卵の会の中で熱く語り合ったりして、気付くと早くも入学から二ヶ月が立つ頃だった。
10月31日、ハロウィーンの朝である。
塔の上にある我が寮には、朝っぱらから南瓜とその他甘ったるい匂いが充満しており、気分が悪くなる奴が何人か居た。

「おはようございます、ダリア。今日はサウィンですね」

「おはよう、セレマ。サウィンって?」

今日も今日とてセレマは初っ端からマイペースである。悠然と微笑みながら右手をゆっくりと広げる動作をすると、今すぐニュージーランドのセットに帰りなさいと言ってしまいそうだった。

「我等の言う所のハロウィーンですね。元々はドルイドの祭事でした」

「それってつまり、セイジのって事か」

ドルイドはセイジ魔法族のうちの一派だという話だ。恐らく、世間一般的にはドルイドの宗教的祭事が「サウィン」なのだろう。

「今日で一年の終わり。明日からは新年です」

「へえ。って事は、ハロウィーンは元々大晦日と元旦の役割を担ってたんだ」

これは興味深い話を聞いた。元々、今でこそ世界の大半がグレゴリオ歴に合わせて新年を真冬ど真ん中の1月1日に併せてはいるが、古代の人々の晦日と新年はそれぞれ考え方により異なる。
アジアでも旧暦、つまり中国歴に合わせると正月は二月の前後となる。これは旧正月とか呼ばれており、ロンドンのチャイナタウンでは催し物もある。一回だけ見に行ったことがあるな。

ハロウィーンについて一つムダ知識を増やした所で、昨晩からセレマに聞こうと考えていた質問を思い出した。

「あ、そういやさ。今日の妖精の魔法の授業でやる浮遊呪文だけど」

「はい、どうしました?」

「これってつまり、どういう事だ?対象の引力を無効化させんの?」

「それで成功するのであれば、構わないと思います」

セレマが優雅に頷く。私も頷いた。
飛行呪文とかであればともかく、この浮遊呪文というのは私にとって非常にイメージが掴み難い。
自由飛行は漫画やらアニメやらでその動きが頭に染み付いているのだが、ただプカプカ浮かぶというと頭に?が浮かんでしまうのだ。
面倒くせぇから反重力魔法とかで一括にしてくれませんかね。

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