二次 | ナノ


▼ 26

相対する私と鉄音の間の薄氷のような空気は、その場をどうしようもないほど凍りつかせた。後ろのハリーも息を呑んだまま、指一本動かさずに私達を凝視している。暫くそのまま、木の葉の揺れる音を聞いていた。

漸くそれをぶち破ってくれたのは、私の知らん奴の声。

「クロガネ」

向こうの廊下からするりと現れた、華奢なスリザリン生。幼気な整った顔立ちは下級生のそれだ。真新しい、大きめのローブに、一年だろうかとあたりをつける。

「セオドールか。」

鉄音の視線が初めて私から外された。ふっと力の抜けた身体に、無意識に緊張していたらしい事に今頃気づいた。

「ハリー、行こうか」

未だ金縛りが解けてないらしいハリーに促すと、滑るように動いてハリーは私に巻き尺を持たせ、廊下を進んで行く。
くだらんシリアスなんてこれ以上続けられるか。手の平がじっとりと汗ばんでいるのに対して感じるのは激しい憤りだった。プライドこんなに高かったか、私?



木曜日、夕食時に大広間に戻ってきたハリーは隣にネビルを連れていた。

「飛行訓練はどうだった?」

食べていた野菜とサーモンの包み焼きを少し退けて、二人を自分の隣に招く。今日の夕食はサラダとこの包み焼き、あとはコンソメスープを少々。ハリー達続いて大広間に帰ってきたロンやハーマイオニーといったグリフィンドール一年生メンバーもそれぞれ周囲に座った。

「それが、ネビルが緊張して箒から落ちちゃって」

「怪我は?」

「無いよ。ハリーが、僕が地面にぶつかる前に助けてくれたんだ」

そりゃまたどういう展開だ。こういう時はロンに聞くのが早いので、何があったのかと斜め前に腰を下ろしたロンに尋ねる。

「授業中にネビルが凄く緊張してたから、ハリーがネビルの横についてたんだ。で、最初のちょっと浮く練習のときに、ネビルがコルクみたいに飛んでっちゃって。ハリーがすぐにそれを追いかけて飛んで、ネビルが箒から落ちた時に20mも垂直飛行してネビルを掬い上げたんだ。凄かったなぁ、あれ」

「ほ、本当にありがとうハリー」

ロンは丁寧に身振り手振り付きで説明してくれた。ふむ、成る程ね。これでフラグは回収できたのか?
それとなくその後の話を促して、マクゴナガルにハリーが連れていかれた話も聞いた。これに関してはあとで詳細話せよとハリーに視線を送っておいた。
原作ではなにやらご機嫌斜めだった気がしたハーマイオニーも、ハリーが間髪入れずにネビルを助けに行ったという事でそれほどこの件に否定的ではないようだった。心配はしていたみたいだが、そりゃ年頃の女の子だし普通するだろう。

「ハリー、君、箒にも才能があったんだな」

感心したようにドラコがハリーを褒めたが、ハリーはどこかおざなりにそれに返事をしていた。ハリーにしては適当な返しに首を傾げる。少しだけ観察して、緑の目が私を気にしているのに気がついた。

あー、十歳はまだまだ子供だよな、やっぱ。

「ハリー、よくやったな。それに初めてでそこまで飛べるのは凄ぇ才能だ。伸ばせよ」

「うん」

ほんのりと嬉しそうに頷いたショタハリーは相変わらず眩しいほど純粋で、思わず浄化されそうになりました。(作文)

あ、勿論のこと真夜中の決闘なんてものは無かった。そりゃ喧嘩売ってくる筈のドラコがハリーと楽しくおしゃべりしながら夕食食べてたらある訳無いわな。
原作では禁じられた廊下に最初に入るのはこのタイミングだったと思うんだけど、そんな展開で大丈夫か?多分大丈夫だ、問題無い。

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