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夕食は軽くサラダとスープに少々の肉類を摂るのが普段からの習慣である。幼児の頃太っていたからか、肉の付きやすい身体なのだ。管理を怠れば豚に戻る。娘をクソピザ体質にするとかほんとに今更だがダーズリー夫妻は何考えてんだよ?
「そういえば諸君、もう掲示板を見たかい?」
双子の片方がミートローフから顔を上げた。するともう片方もつられるように顔を上げる。どっちがどっちかはまだ区別がつかない。容姿に違いが見受けられない上、こいつらの性格的な差異がわかるほど親しくもないのでね。今日初めましてしたばっかだからな。
「掲示板?」
ロンが怪訝そうに訊き返し、双子が揃ってそれに頷いた。
「次の木曜から一年生諸君の飛行訓練が始まるんだ」「スリザリン生との合同授業だ。」
「てことはクラスが半数に別れるな。後で見に行ってみるよ。」
親切にも教えてくれた双子に相槌をうちつつ、ふと違和感を覚える。
……原作でこんな流れあったか?
確か、映画だと飛行訓練の授業はシーン切り替えで始まる。だが原作だと、ハリーはその掲示を直接見た気がする。困ったな、細かい描写に信用が無くなってきた。まー殆ど碌に覚えちゃいないのだが。
「箒に乗るのは初めてのやつばかりかな」
双子の片方が周囲の一年生メンバーをぐるりと見回す。ハリー、私、ハーマイオニー、そして驚いたことにセレマがその視線に頷いた。双子のもうかたほうが以外そうに声を上げる。
「セレマは魔法族なのに箒に乗ったことが無いのか?」
「はい。森の中に住んでいるため、箒で飛ぶのに十分なスペースはありませんでしたから」
成る程ね。……そういえば、この世界のエルフはセレマによればトールキンのエルフに近いらしいが、身体能力まであんな風なチート級なんだろうか。後で聞いてみよう。セレマは一見身軽には見えないようで、時たま驚くほど軽やかに動くからなぁ。
とりあえず、星明かりを宿してはいないように見える。映画寄りなイメージだ。
弓と剣が得意ですとか言われたらどうしよう。ハリーと私のコンビネーションでも敵う気がしない。
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