二次 | ナノ


▼ 04.兄弟子と殴り込み

中に入ってシェルターの扉が閉められたのを確認し、通路を進む。先ずはライドウをボコボコにして、アイリちゃんの事と、今捕らえられている女の人達の事を聞き出さないとならない。

「ほら見ろ、何も心配なかっただろう」

「そうですね。そんなに化粧が上手く出来てるとは思いませんでした」

同意を示すと、レイさんがハァッと溜息をついた。さっきから何なんですか、もー。



ライドウの部屋の入り口はゴテゴテした悪趣味な装飾がされていて、見張りが立っていた。ライドウ様に失礼の無いようにな、なんて言いながらそいつが扉を開ける。中も非常に悪趣味な内装で、その中央にライドウは女の人を侍らせてふんぞり返っていた。

「新しい女か!」

ライドウが下卑た笑みを浮かべて私を上から下までなめ回すように見る。うわぁ気持ち悪ぅ。我慢して近付くと、ベールを毟り取られた。

「おおっ!こりゃあ今までで一番の上物だな」

「そりゃどーも」

これ以上は我慢がならない。顎に蹴りを入れて額関節を外し、そのままくるりと回転して肩の腱を引き裂いた。

「あがぁっ!?あががが!」

ひぇっ、と固まった女性達に、音もなく近寄ったレイさんが手刀を落として気絶させる。だいぶスプラッタになる予定だしね、見せたくはない。

「おい、外道。貴様には幾つか聞きたいことがある」

「正直に答えなかったら指を一本ずつ落としていくからそのつもりでね」

「あがっ……、あがががっ!」

レイさんが無理やり顎を嵌め直し、悲鳴を上げるライドウの頬を掴んでシィ、とジェスチャーする。いっそ優しげな表情だが、従わなければ頬からスッパリいくからね。

「アイリという女を知っているか?」

「し、知らねえ!」

「正直に言ったほうが身のためだよ?」

私がライドウの右手に手を伸ばすと、ライドウはひぃい、と上擦った悲鳴を上げた。

「ほ、本当に知らねぇんだ!今までここに来た女は全部リストにしてあるから、それ見りゃ分かるはずだ!」

「リストは何処にある?」

「部屋の隅の棚だ……!」

レイさんが顎で棚をしゃくったので、頷いて立ち上がった。棚の中には確かにリストが入っており、それは売買記録になっていた。ざっと目を通してもアイリという名前は無い。

「な?ほ、本当だろう?へへ……」

「では二つ目の質問だ。女達は何処に閉じ込めているんだ?」

「ち、地下だ。部屋から出て左にある階段から行ける。なぁ、正直に答えただろ……か、肩ももう使い物にならねぇ。頼むから、命だけは……」

ライドウのみっともない命乞いは、レイさんには通用しない。

「てめぇみたいな下衆は、てめぇが売り飛ばした女の数だけ死ぬがいい!」

「ぎゃああああっいでえ!やべでぐれ!ぎぃやあああ!!」

レイさんが惨たらしくライドウの身体を解剖してくのを、黙々と観戦していた。あースッキリする。レイさんって本当に最高だ。

「ライドウ様!?」

扉を抉じ開けて入ってきた見張りの奴を引き裂く。今良い所だからね、邪魔しないでね。レイさんが正義の鉄槌を女好きの下衆野朗に下しているから。

しかし、そいつが扉を開けた一瞬のうちにライドウの断末魔が広がってしまったらしい。通路を走る音が次々に近付いて、扉が蹴破られる。

「レイさん、どうします?」

「フッ……決まっている。全員地獄へ叩き落とすぞ」

「まぁ、それ以外に無いですよね」

私とレイさんは同時に床を蹴った。

「っしゃあ!」

斜めに回転しながら雑魚共の首や目元、肩口を指先で刃物のように抉る。勢いを殺さないよう、遠心力が損なわれないように空中に留まったまま独楽のように回るのが、私の最もよく利用する戦法だった。
教わったのが指先による斬撃や衝撃波をメインとした流派だったのは私にとってとても都合が良かった。突きだと隙が大きいからね。

「死ね!この汚ぇウジ虫共がぁ!」

レイさんもエキサイトしているみたいです。熱くなると物凄い口が悪くなるんだよねぇ。
普段はフッとか笑ってるクールキャラなのに、これがギャップというやつかな?

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