二次 | ナノ


▼ 19

私が内心で突っ込みを入れている間、スネイプ先生は絶句していた。
もしかすると、奔放で天才肌だったハリーの父親をハリーに重ねていたのか。そのイメージは早急に変えたほうが賢明だと思う。
ハリーというやつはいろいろと詰将棋みたいなやり方をするのである。なんでお前スリザリンじゃねぇの?

「勉強熱心な事は構わないが、五章以降は二年生からの内容だ。決して実践しようなどと馬鹿な事は考えぬよう」

「勿論です、先生」

頭痛そうに手でこめかみを抑えながら、スネイプ先生はハリーに控えめな忠告をする。

「よかろう。それでは、ポッター……アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

「生ける屍の水薬ですね。カノコソウと催眠豆を利用することで、より効能の高いものが安定して作れます。魔法薬調合法のまえがきの中に、複雑な調合法が必要な、強力な魔法薬の例として乗っています。」

それは私も読んだ覚えがある。私以外の賢者の卵のメンバーが一斉にハリーに微笑んだので、スネイプ先生は不可解そうな顔をした。

「ではポッター、アスフォデルとニガヨモギについてはどうだね?どんな種類の薬草なのか分かるか?」

「ええと──」

ハリーが一瞬言い澱むと同時に、ハーマイオニーの手がパッと上がった。スネイプ先生はそれを無視したようだったが。

「アスフォデルは、正確にはアスフォデルス・アルブスという種で、ユリ科の多年草です。南ヨーロッパに分布します。古代から薬として利用され、えーと、死者の国の植物だとか、永遠に咲く不死の花であると考えられています。生ける屍の水薬の主たる効能を発揮するのはこちらですね。
ニガヨモギについては、キク科ヨモギ属の多年草で、創世記に出てくる蛇の這ったあとに生えるという言い伝えがあります。魔法薬生成の際に注がれる魔力を媒介し、アスフォデルの球根の粉末を単なる植物から魔法的物質へと変容させる役割を果たします」

『魔法の薬草ときのこ千種』の内容も覚えてんのかこいつ。やべーな。
ハリーは次のベゾアール石についてもスラスラと答え、今や教室中の注目を一身に集めていた。いいぞもっとやれ。その調子で目立ってモテまくれ。まー私はハリーの答えをノートに書きとめてるけどな。まじ勉強になるわー。

「ダーズリー!」

「はい」

唐突にスネイプ先生が私を呼んだので、シャーペンを置いて顔を上げた。ハリーを呼ぶ時よりもきつい声だったが、私何かしたか?

「ダリア・ダーズリー……ポッターの従姉だそうだな。ご両親はマグルだったか?」

「そうです」

おいこのおっさんハリーにケチがつけられなくて私に矛先を移す気か。だっせぇww上等だてめえ返り討ちにしてやんよwww

「ダーズリー、モンクスフードとウルフスベーンの違いはなにかね?」

「ウルフスベーンはモンクスフードの別名なんで、違いはないです。どっちもアコナイトの事です。ウルフスベーンはその毒性からつけられた名前で、モンクスフードはその見た目からつけられた名前。他にもヘルメット・フラワーなんていう別称があります。で、アコナイトは学名アコニートゥムから出来た名前です。」

スネイプ先生は心底嫌そうな顔をした。歯軋りでもしそうな感じの。うわぁ、いい大人が子供に向かってしていい表情じゃねえぞそれ。ねぇ今どんな気持ち?馬鹿にしようとした相手にあっさり回避されて今どんな気持ちィwww?
つーかなんでハリーより酷い悪感情向けられてんの私?心の中で散々煽られてるの気付いてんのか?

ところで、何で私がスネイプの質問に答えられたかと言えば、モンクスフードは単に危険な毒草としてよく知られているし、それが日本語で言うところのトリカブトである事も分かっていたからだ。あと、ウルフズベインと学名のアコニートゥムについてはクトゥルフTRPGで遊んでいた時にちょっとね。
ま、あれだ。嗜みってやつさ!
つまるとこ運が良かったのであって、印象に残っていたベゾアール石ならともかく、一番最初の問題なんぞさっぱり分からん状態だった。
そういう事なんで、ハリーやハーマイオニーと同種のように見るのやめてくれないかな、ロン。

prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -