二次 | ナノ


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さて、お待ちかねの魔法薬学の授業ですよ。
真ん中の列の最前線にハリーが突っ込んでいったのに、やれやれと肩をすくめてついて行く。私が変身術を楽しみにしていたのと同じくらい、ハリーが楽しみにしていた授業の一つがこの魔法薬学である。ウィッチといえば怪しい薬というのが奴の論であるし、そもそもハリーは化学薬品ラヴな少年である。日本旅行で寄った科学館での化学反応が面白かったらしい。科学の通用しない魔法薬品はどうなのかと、ハリーは朝からずっとそわそわし続けていた。

魔法薬学の教室は地下にある為やたらと涼しい。材料は直射日光の当たらない、涼しい場所で保管して下さいってことか。冬場寒そう。エアコンの代用魔法でもあるんかね。
元々は地下牢だったらしいが、児童への体罰が禁止されてから改装されたそうな。実に合理的だが、この授業は兎に角荷物が多いので、塔の上に寮が位置するグリフィンドール生には今だに不評な教室変更である。
ちなみにグリフィンドール寮より更に高い所に位置するらしいレイブンクローから不満が出た事は無いとのこと。あそこ勉強厨しか居ねぇから。

魔法薬学の教授、セブルス・スネイプはあまり顔色の良くない、真っ黒なローブに身を包んだ男だ。今のところ、登場人物達はダリアこと私を除いて映画と同じ顔である。
ところでこのおっさん今幾つよ?30代くらい?確かハリーの母親の幼馴染なんだよな。えーと……ハリーの父親との関係が最悪で、それが理由で父親そっくりのハリーに物凄く複雑な感情を抱いているんだったかな。

スネイプ先生はフリットウィック先生同様出席を取る派らしく、まずスリザリンの出席簿をチェックして、それからグリフィンドール生を名前順に呼んだ。
原作にも映画盤にもこんな描写は無かったような気がするけれども、この授業はスリザリンの一年生の半数と、グリフィンドールの一年生の半数での合同授業である。つまり、(37+36)÷2=36.5で、生徒を真っ二つに分ける訳にはいかんので37と36。私のクラスは37。クラス分けの基準はさっぱり不明。

全く目線を上げないまま淀みなくリストを読み上げていたスネイプ先生だったが、パーバティの名前を読み上げた後、初めてそのリズムを崩した。

「あぁ、さよう」

スネイプ先生はゆっくりとそう言った。土気色の顔が生徒側へ向けられ、暫くうろうろする。お目当ては最前列のど真ん中だよ。
エメラルドの瞳を爛々と輝かせたハリーが身じろぎもせずに見つめているのに気がついたスネイプ先生は少々ぎくっと肩を強張らせた。

「……ハリー・ポッター」

「はい!」

こらハリー、いたいけな魔法使いを驚かすのはやめて差し上げろ。ちなみに、ここでの魔法使いは30を越すとなれるというアレの意味である。
スネイプ先生はハリーの良い子のお返事に盛大に顔をしかめ、ハリーの右に当たり前のような顔をして座るドラコに眉をひそめ、その奥に座るロンにむっつりと唇を引き結び、更にその横のセレマにぐっと詰まったような表情をし、ハリーと同じくらい目の奥を光らせたハーマイオニーの眼光に気怠そうに息を吐いた後、最後に私に視線を戻して不機嫌にフンと鼻を鳴らした。百面相かよ。
取り敢えず名前を最後まで読み上げて、授業の概要らしきものを話したスネイプ先生は、その全てを大学ノートにガリガリ記入しているど真ん前のハリーにドン引きだった。今、ハーマイオニーより酷いけどその自覚ある?ウスノロじゃない事を証明したいのは分かるけどまるでハーマイオニーと魂の双子のようだぜ。

「アー……ポッター」

スネイプ先生は戸惑いを隠せなかった。ハリーが元気よくハイ先生と頷く。やばい、面白い。スネイプ先生とハリーの態度がお互いにちぐはぐすぎる。

「結構……やる気があるのは良いことだが、もちろん予習はされたのだろうな?」

「……まだ半分までしか」

恥ずかしそうに答えたハリーのために一応断っておくが、その魔法薬調合法という本は五年生まで通して使う教科書だぞ。ハーマイオニーも、私はもっと読んだわという顔をしない。ハリポタ一冊分くらいのページ数だぞ?こいつらはちょっとおかしい(断言)

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