▼ 02
ぽかんとした表情のハリーはふらふらついて来た。
私はリビングにどすどす歩いて、先程まで座っていた椅子に座る。
「ヘイハリー。ノンシュガーのあったかめミルクティー二つ。」
ハリーはあからさまにげんなりした顔をした。が、次の瞬間には頭にハテナを浮かべる。
ノンシュガー?ダリアが?何で二つ?いいから作れ。
ハリーは首を傾げたままミルクティーを入れて、私の前へ置いた。二つとも。
「馬鹿め、私の前に二つ置いてどうする」
「え?」
「そこへ直れハリー」
ビシっと横の椅子を指差すと、ハリーは混乱しながら座った。
「いいか、常識的に考えて一個はお前のだろJK。大切な事なので二回言いました」
「えぇ?うん…」
「わかったら片方のミルクティーを自分の前に置け。でテーブルを向いて膝の上に手を置く…いや間違えた待った今のナシ。手を洗ってこいそれから今言った事をすれば万事ぉk」
ハリーは訳がわからないまま言われた事に従った。よしよし。
ドーナツを運んで来たペチュニアさんが目を見開いて私とハリーを目まぐるしい早さで交互に見ていたが、スルー。
「お前痩せすぎなんだよ。私の体格と比較して虐待だの言われんのはママとパパが完璧に悪いが、しかし流石に罪悪感沸くわぁ」
言いながらハリーの目の前に取り皿を置いて、その上にドーナツを載せた。そして私はハリーを殺気を込めて睨み付けた。
「残したら殺す」
効果は覿面でした。
子供は皆当たり前に幸福であるべきなのだ。私の目に写る限りの話だが。
ダリアってあまりに酷い体型だと思う。
なのでその中に入っちゃった現代日本人女子校生はついに耐えかね、齢七歳にしてダイエットを始める事にした。
ので、まず手始めにデザートの大半をハリーに押し付けた。それが今回の真相である。
次に彼女は日本食が食べたいとペチュニアに駄々をこねた。それはもう盛大にこねた。
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